侍ジャパン稲葉篤紀監督は1本の電話が忘れられない。

19年プレミア12の決勝韓国戦の翌日。チームが解散した直後。携帯が鳴った。山田哲人だった。「本当にいい経験をさせてもらいました。また東京五輪の代表に選ばれるように、頑張ります!」。普段は大きく感情を出さない男が、ほとばしる思いを抑えきれないように伝えてきた言葉が耳に残った。

「テツトからの電話はうれしかったなぁ。チームのためにというのも出てきて、変わったなと感じる」。その後もヤクルトでの山田の後ろ姿を注視し続けた。志願してキャプテンを務めるようになった変化に、さらに確信を深めていった。 五輪イヤーはヤクルト戦を視察すれば村上とともに山田もよく打った。「見に来ている試合で打つと印象が良くなりますし、そういう巡り合わせ、運命があるのかなと思う」。運命の韓国戦で勝利を手繰り寄せたのは、情熱の山田だった。【侍ジャパン担当=広重竜太郎】

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