東京オリンピック(五輪)に出場するバスケットボール男子日本代表が歴史的勝利をつかんだ。強化試合で世界ランキング42位の日本が同7位のフランスに81-75で勝った。第4クオーター終盤に一時追いつかれたが、エースの八村塁(23=ウィザーズ)らの活躍で競り勝ち大金星。八村は、約29分間のプレーで両チーム最多の19得点で勝利に貢献した。五輪1次リーグの同じC組には、26日の初戦で対戦する世界ランキング2位のスペインなど、さらなる強豪が待ち受けるが、確かな手応えをつかんで五輪本番に向かう。

日本が、五輪へこれ以上ない結果を手に入れた。NBAで最優秀守備選手に輝いたゴベール(ジャズ)を筆頭に、昨季NBAでプレーした選手が6人もおり、19年ワールドカップ(W杯)3位というフランスに勝った。そのW杯で日本は出場32チーム中31位だった。まさに大金星。歴史的勝利だ。前半を終えて46-30。後半、目の色を変えた相手の猛反撃を浴びた。一時同点とされたが、耐え抜いた。五輪前に組まれた最後の強化試合。ラマス監督は「完璧な内容だった。集中力が研ぎ澄まされていた」とうなずいた。

エース八村の得点で、チームにリズムが生まれた。前半終了時点で、相手にボールを与え、攻撃権を奪われるターンオーバーの数は0。前半14得点の八村は、激しいマークを受けた後半は5得点も周囲が奮闘。エースは「僕らもチームも、気合が入っていた。後半に(自分の)リズムが崩れたが、チームメートがやってくれた」と笑顔を見せた。

リオデジャネイロ五輪に出場できなかった5年前から、チームは劇的に成長。5年前の6月、五輪最終予選を控えた練習試合は、敵地でフランスの胸を借りたが74-91で大敗している。当時チーム最年少、大学生だった渡辺雄は今やNBAプレーヤー。「あの時は勝てるビジョンが見えなかったが、この5年間で日本のバスケが変わっていると感じた」。比江島も「前回は遊ばれた記憶しかない。今回は余裕を持ってやれた」と手応えを口にした。

16年9月に分裂していた2つの国内リーグが統合されBリーグが始まった。八村、渡辺雄とNBAプレーヤーが2人になった。この5年間で日本バスケは、著しい進化を遂げた。愛称「アカツキファイブ」のように、まさに明るい朝を迎えようとしている。五輪本番では、さらなる難敵が待つ。1次リーグは、フランスより世界ランキング上位の2位スペイン、4位アルゼンチンらと同組。目標はまず1勝。ただ、その歴史的1勝をつかみ、世界を驚かせる準備は整った。【奥岡幹浩】

◆東京五輪のバスケットボール 試合時間は10分4クオーターの計40分。男女各12チームが、4チームずつ3組に分かれて1次リーグを行い、各組上位2チームと同3位の成績上位2チームの計8チームが一発勝負の決勝トーナメント(T)に進む。会場はさいたまスーパーアリーナ。

○前回フランス戦VTR 16年6月28日、リオデジャネイロ五輪最終予選直前にフランスで練習試合。パーカーらNBAプレーヤーを擁する世界5位に一時30点差をつけられる展開。主将の田臥が鋭いパスを繰り出し差を詰めにかかったが、力の差は歴然で74-91で敗れた。ジョージワシントン大2年だった渡辺は終盤2本の3点シュートを決め15得点。