東京五輪柔道男子100キロ級金メダルのウルフ・アロン(25=了徳寺大職)が10日、地元の東京都葛飾区に凱旋(がいせん)した。青木克徳区長を表敬訪問し、初の栄光を報告。24年パリ五輪に向けて検討していた100キロ超級への階級変更に関しては慎重な姿勢を示した。また、体重無差別で争う全日本選手権(12月26日、東京・講道館)には出場する意欲を見せた。

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金メダルと男女混合団体の銀メダルを首に掛けたウルフは、青木区長にメダル獲得の喜びを伝えた。17年世界選手権、19年全日本選手権も制し、史上8人目となる「3冠」の偉業を達成。「一番応援してくれたのが地元の葛飾区。沢山の方の応援があって成し遂げられた」と感謝した。

大会後、100キロ超級への階級変更を示唆していたが、パリ五輪までの時間を逆算して「五輪が4年後であれば考えたが、3年しかない。(団体決勝で)リネール選手とやって(古傷の)両膝の状態も悪くなり、それを考えても100キロ級の可能性の方が高い」とし、現段階では五輪2連覇を目指す意向を示した。

今後については、稽古を再開して「気持ちの入りや練習感覚」を確認した上で、次戦のグランドスラム・東京大会(12月3~5日)の出場可否を決めるという。その3週間後の全日本選手権については「もちろん出る」と、2大会ぶりの王座奪還へ意欲を示した。

「魚をさばく柔道家」の顔を持ち、8日には知人から「めでたい」との意味を込めてもらった約30センチのタイをさばいた。五輪前に「優勝して『めでたい』のタイをさばく」との目標を掲げ、見事に有言実行のご褒美となった。【峯岸佑樹】

○…東海大大学院を休学中のウルフは、来年4月に復学する考えを示した。19年3月末に東京五輪を見据えて柔道に専念するために休学した。コロナ禍の五輪延期に伴い、復学も1年延びたが「来年度に復学したいと思う」と話した。体育学研究科では、競技に生かすために自身の心拍数の比較などをテーマに研究している。