国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(67)が17日、都内で開いた理事会後、メインプレスセンター(MPC)で会見した。来日10日目で初の質疑応答。菅首相に有観客を提案した件について聞かれると「匿名の誰かが私的な話を漏らした。発言は避けたい」とかわしたが、大半の会場が無観客に決まった8日の5者協議では「コロナの状況を継続して観察し、状況が変わればまた5者で協議して検討したいということ」と有観客の提案を事実上、認めた。

2日前に「日本人のリスクはゼロ」と語った後、ウガンダの選手団が大阪から行方不明となり、この日は選手村で初の陽性者が確認された。それでも「日本国民や大会関係者にリスクは与えない。陽性者の数も来日者のわずか0・01%だ」と自信を見せ、五輪とIOCへの嫌悪感を持つ国民に対しては「感情を戦わせるのではなく信頼を得たい」としつつ「日本は五輪が始まれば歓迎し、サポートしてくれると信じている」と押しつける場面もあった。

東京都の新規感染者数が4日連続で1000人を超える中、翌18日に迎賓館赤坂離宮で開かれる歓迎会について問われると「組織委から招待いただいたもの。我々はゲストでしかありません」と出席を辞退せず。緊急事態宣言で自粛が続く都民の意に沿わなかった。会には菅首相、小池都知事ら約40人が出席予定。組織委の橋本会長は「規模は小さく、距離を取り飲食も伴わない」と理解を求めた。

バッハ氏の発言は冒頭から20分超ノンストップ。前日の広島訪問に感銘を受け「我々も平和の大使になる」という宣言もあった。次回はIOC総会後の21日に記者会見する。【木下淳】