東京オリンピック(五輪)の米国での独占放映権を持つNBCテレビの視聴率が低迷し、2016年リオデジャネイロ大会から大幅減となっていることで、一部の広告主に無料広告を提供することが検討されているとニューヨーク・タイムズ紙が報じた。

7月23日に行われた開会式は過去33年で最低の視聴者数だったが、開幕後も視聴者数を伸ばすことができず、プライムタイムのテレビ視聴者数は前回のリオ大会から50%近く減少しているという。広告主の期待する視聴者数を獲得できない見通しとなったことで、補償策の提案がなされていると伝えられていた。

今大会は地上波やケーブルテレビ、ストリーミング配信等を合わせて前例のない過去最長となる7000時間に及ぶ放送を行っているNBCは、開幕前には「最も利益率の高い五輪になる可能性がある」と述べていた。

NBCユニバーサルのジェフ・シェルCEOは「開幕すれば、視聴者はすべてを忘れて楽しむだろう」とコメントしていたが、実際には五輪特設サイトや動画配信サービス「ピーコック」でのストリーミング視聴は好調なものの、テレビ視聴率は終盤になっても苦戦を強いられる期待外れの結果となっている。

コロナ禍での1年間の延期や無観客になったことに加え、SNSの台頭による若者のテレビ離れ、米国の人気選手が相次いで新型コロナに感染するなどして欠場したことなども影響しているとみられている。

また、米国内で人気のテニス女子の大坂なおみの敗退や体操女子のシモーン・バイルズの棄権、人気種目の陸上男子400メートルリレーの予選敗退など盛り上がりに欠ける要素が多かったことも要因にあげられている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)