開会式の聖火ランナーは3組9人で、最終点火者は車いすテニス女子の上地結衣(27=三井住友銀行)ら3人が務めた。

1組目の3人は、冬季大会アルペンスキーで金メダル2個を含む5大会連続出場の大日方邦子さん、前回1964年東京大会の視覚障がい卓球男子で金メダルに輝いた竹内昌彦さん、競泳女子で計15個の金メダルを獲得し、6大会連続出場の今大会を50歳で迎える成田真由美が聖火を運んだ。

2組目の3人は、新型コロナウイルス感染拡大下の社会を支える医師の中村太郎さん、看護師の田村玉美さん、障がい者をサポートする義肢装具士の臼井二美男さんがつないだ。中村さんは日本パラリンピックの父」と呼ばれる故中村裕さんの長男として、57年ぶりの自国開催で大役を全うした。

最終3組目の3人は、3回目の出場で悲願の金メダルを狙う上地、24年パリパラリンピックを目指すボッチャ男子の内田峻介とパラパワーリフティング女子の森崎可林が務めた。聖火台へと続くスロープを上がると、太陽をモチーフにした直径2・5メートルの球体がゆっくりと開く。日本全国47都道府県とパラ発祥の地とされる英ストーク・マンデビルで採火され、3人のトーチに託された火が、パラリンピック史上初の水素の聖火台にともされた。

東京パラリンピックの聖火リレーは、新しい出会いが共生社会につながる気付きになる、との願いが込められ、原則3人1組で走ることになっている。最後も3組9人のリレーで締めくくられ、史上初めて同じ都市で2度目の開催を迎えた大会の開幕を告げる、聖なる炎となった。【木下淳】