ボッチャのペア(運動機能障害・脳性まひBC3)で、世界ランキング7位の日本が銀メダルを獲得した。決勝で同4位の韓国に4-4の同点からタイブレークの末に敗れたが、ペアでは初の表彰台。準決勝では同1位ギリシャを5-1で撃破する金星を挙げた。日本はチーム(脳性まひ)でも銅メダルを獲得し、今大会の日本勢は杉村英孝(39)の個人での金を含む3つのメダルを手にした。

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髪形を同じマッシュルームカットでそろえた河本圭亮、高橋和樹、田中恵子のチームワークで、最後まで格上の韓国に接戦を繰り広げた。

準決勝では、世界1位で12年ロンドン大会金メダルのギリシャを5-1で破った。コロナ禍で練習回数が減ったが、河本は「(オンラインでの)リモート合宿でやってきたことが出せている」と手応えを口にしていた。

BC3は最も障がいが重いクラス。河本は筋力が徐々に衰える「筋ジストロフィー」を患う。河本を含めた同クラスの選手が新型コロナウイルスに感染した場合、重症化リスクが高い。練習機会が減った分、それぞれが延期した1年を有効に使った。河本は動画投稿サイトで、海外選手の試合映像を繰り返しチェックして分析し、戦略を練った。「知識が増えたし、積み重ねたものが出せるようになった」と前向きに捉えた。

村上光輝監督は日本の快進撃の要因に、コロナ禍で増えたコミュニケーションを挙げた。練習機会が減り、ビデオ通話機能などオンラインを通じて話す機会も増えた。「話すほど強くなりました。これまでなぜリモートをしなかったのかと思うほど」。さらに「ゲーム中にもコミュニケーションを取って、失敗も修正できた。メダルを取れた要因の1つだ」と明かした。

BC3は知名度が低かったが、「マッシュルームジャパン」の愛称も付いた。田中は「もっと知ってもらうきっかけになった」とメダル獲得を素直に喜んだ。【近藤由美子】

◆ボッチャのクラス 4クラス。BC1は脳性まひがあり、手足を使ってボールに推進力を与えられる選手。補助具は使えない。BC2はBC1の選手より大きな機能を有する。BC3は脳性まひか、四肢すべてに障がいがあり、ボールを投げたり蹴ったりできない選手。勾配のある「ランプ」など補助具が使え、選手の指示でランプを調整する補助員の支援を受けられる。BC4は脳性まひはないが、四肢すべてに障害がある選手。