女子ダブルス(車いす)で決勝で、里見紗李奈(さりな、23)、山崎悠麻(ゆま、33=ともにNTT都市開発)組が、16-21、21-16、21-13の2-1で逆転勝ちし、金メダルを獲得した。里見は前日4日の女子シングルス(車いすWH1)に続く2冠達成。山崎も女子シングルス(車いすWH2)で銅メダルを獲得しており、そろって2つ目のメダルとなった。

2人のペア結成は、18年にタイで開催された国際大会だった。2位に終わったが山崎は第一印象からビビビと感じるものがあった。

山崎 他の選手とも組んできたのですが、当時世界ランク1位だったタイのペアに、勝てる手応えを紗李ちゃんと組んで初めて感じたんです。

里見 最初は私がダメダメで、悠麻さんに助けてもらってばっかりのダブルスだったんですけれど、徐々に私も動けるようになって、対等にしてくれて意見もしっかり聞いてくれるようになって。そういう意味では変わっていけたのかな? 分かんないけど…。

強くなることを求めあえばあうほど、「けんかっぽくなっちゃったこともあったんですけれど…。泣いてみたりもしちゃったよね」(山崎)。「悠麻さんが求めることは分かっているけれど、出来ないんだよ~みたいな」(里見)。今では公私ともに信頼は強くなり、東京の大舞台でしっかり結果を出した。

お互いの長所も短所も尊重しあい、試合中には障がいの程度の大きい里見が相手に狙われることが多いが、山崎がしっかりとカバーする。コロナ期間で山崎が習得した自称「サイクロン」も披露。後方に下がって海老反りでシャトルを打ち、車いすをクルッと回転させた勢いで前方のスペースを瞬時にカバーする場面もあった。里見は「シングルスは自分で自分を盛り上げなきゃいけないけれど、ダブルスは会話出来たり、悠麻さんに気づかせてもらえたりすることがある。シングルスは緊張するけれど、ダブルスは楽しくいこうと思える」。24年パリ大会に向けても「『ゆまさりペア』でいきます」と即答した。

少し休養してから再出発する予定。「今、何がしたい?」と問われると「おいしいものが食べたいよねえ~」と口をそろえた。山崎が「家族で焼き肉」と答えれば、里見は「トンカツを衣をはがさずに食べたいです」。山崎も「それ、分かる~」と同調。東京での金メダル獲得を目指し、コロナで1年延期。厳しく管理してきた日常から解放された2人の安堵(あんど)の表情が印象的だった。【鎌田直秀】