日本の至宝MF久保建英(20=レアル・マドリード)が、第2の故郷スペインとの一戦で先制点をアシストした。

前半42分、ドリブル突破でMF堂安律(23)のゴールを呼び込んだ。試合後には「てっぺんまで突っ走っていきたい」と頼もしい発言も飛び出した。

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久保の雄たけびがとどろいた。前半42分、左サイドでDFを振り切った久保は、内側に切り込みながらドリブルでエリア左に運び、マイナスにパスを送った。目線の先にはMF堂安。逆サイドからエリア内に走り込んだ10番が、左足でダイレクトシュートを決めた。堂安に駆け寄った久保は、左手でガッツポーズを作り、カメラに向かってほえた。「難しい時間が続く中、自分のところでこじ開けられないかと思っていた。いい形で抜けられて、あとは堂安選手のシュートが素晴らしかった」。カメラの向こうで見守る、日本中のファンを熱狂で包んだ。

五輪本番を前に、“第2の故郷”から自信を得た。11年に10歳でスペインに渡り、「カンテラ」と呼ばれるバルセロナの下部組織で約3年半、技術を磨いてきた。「自分が今ここにいられるのは、スペイン含めて、関わってくれたチームや選手たちのおかげ。(対戦が決まり)うれしさもあるし、マッチメークしてくれた人への感謝もある。ピッチで(感謝を)出せたら」と、特別な国との試合を前に思いを語っていた。

結果は引き分けたが、A代表経験者の多いスペインの実力は確かだった。久保は「代表戦では久しぶりに相手にボールを持たれて、苦しい時間が多かった」と振り返ったが、「6月から負けずに本番に入れるのは、ポジティブにとらえていい」と結果には胸を張った。自ら「優勝候補」と目する相手に、押し込まれる時間帯も連動した守備で耐え、最少失点に抑えた。

試合後の場内インタビューで、興奮を抑えきれない様子の久保は言った。

久保 こうして強豪国と十分に渡り合えると、結果で示せたと思う。ここから時間は短いけれど、さらにいろんなところを修正して、てっぺんまで突っ走っていきたい。応援よろしくお願いします!

金メダルへ、準備は整った。

◆東京五輪サッカー男子の大会方式 1次リーグは16チームが4組に分かれて行い、各組上位2チームが準々決勝に進む。各組の順位は(1)勝ち点(2)得失点差(3)総得点の順で決め、それも並んだ場合は当該チーム間の勝ち点、同得失点差、同総得点、全試合の反則ポイント、抽選の順で決める。準々決勝からは90分で同点の場合、30分(前後半各15分)の延長戦を行い、それでも決着がつかない場合はPK戦を行う。