なでしこジャパンの「東京2020」が終わった。E組3位のサッカー女子日本(FIFAランク10位)は、G組1位で前回大会銀メダルの同スウェーデン(同5位)に1-3で敗れた。金メダル候補の米国を倒すなど1次リーグ全勝の難敵に、前半7分に先制を許した。FW田中のゴールで追いついたものの、後半に2失点と突き放され、準々決勝での敗退が決まった。

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世界との差を突きつけられた。序盤は相手の勢いに圧倒され、開始7分で警戒していたクロスから失点。前半23分にFW田中のゴールで追いつき、その後も押し込む展開が続いたが、決定機は少なく、後半2失点した。確かに善戦はした。しかし「結局、ボールを持っているだけじゃ、ゴールは取れないので」。岩渕の言葉に、全てが詰まっていた。

体格ではかなわない相手に、テンポよくパスをつないでボールを運んだ。ただ、最後の局面でスルーパスやクロスが長い脚にからめ捕られ、シュートは8本にとどまった。コロナ禍で強豪国との試合が組めず、親善試合では大勝が続いた。欧米女子を想定した男子高校生との練習試合も重ねたが、金メダルへの準備としては物足りなかった。

フィジカル面のマイナスをアイデアや連携でカバーしてきたが、世界がそのサッカーを模倣し、上回ってきた。それに対抗する日本ならではの戦い方は、最後まで見つけられなかった。高倉監督就任後、66試合で1度も逆転勝ちはなく、世界ランク上位に勝ったのは3度だけ。「世界の女子サッカーの急速な進歩の幅が、自分の計算とはちょっと違っていたのかな」と高倉監督は話した。自国開催の五輪でベスト8という結果を重く受け止め、未来につなげていかなくてはいけない。【杉山理紗】