「でっかい男になりたい」野村和輝 おかわり、山川継ぐ山賊の防球ネット超え第3世代

かつて黄金時代があった西武は今、決して充実期ではありません。5年後の常勝軍団化を見すえての方策の1つが今季から独自導入した「2軍定員制」です。2軍のイースタン・リーグ公式戦のベンチ入りは28人だけ。1軍にも2軍にも入れなければ、必然的に3軍へ。その3軍で奮闘する育成ルーキー、野村和輝内野手(20)にスポットを当てました。

プロ野球

◆野村和輝(のむら・かずき)2003年(平15)6月7日、大阪府生まれ。東大阪大柏原―日本海リーグの石川を経て、22年育成ドラフト1位で西武に入団。趣味は「筋トレ」という生粋の長距離砲で、高校通算27本塁打。日本海リーグの石川では投打の二刀流だったが、プロでは野手として勝負する。特技は料理で、ここぞという時はトンカツを作る。183センチ、95キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸320万円。

初めてのセカンド

いろいろあって、山川穂高内野手(31)が3軍で練習している。

三塁で山川らとノックを受けていた野村が、今度は二塁のポジションに移った。本職は三塁か一塁。4-6-3の動きも流れるように、とはまだいかない。それでも3軍戦では編成上、二塁スタメンが増えた。

「ライオンズに入って、野球人生で初めてセカンドやってます。足も使うし、今まで経験したことない動きもあって。難しいですけど、楽しいです。全部プラスになってます。どこでも守れるようになったら、得しかないっすよね」

3軍にいても、日々前向きに練習する。

山川に関しては臆測報道も散見する。少なくとも3軍の若手には、首脳陣にとどまらず、ここぞとばかりに教えを請おうとする選手が圧倒的に多いように見受けられる。

野村もその1人だ。記者の私に隠そうとせず堂々と話す。

「今、山川さんが3軍にいて、いろいろ教わっているので、それをモノにできるように。自分、プロ入り前の独立リーグで打撃フォームを試行錯誤してたんです。その時の悪い癖が、まだあるのかなと。今はちゃんと自分の意思も固めて、山川さんに教えてもらいながら、何とか。今が自分のチャンスなので」

主砲からの金言が、そのままルーキー野村のプロ野球選手としての個性だ。

「お前は本当にちゃんと捉えたら、俺と飛距離変わらないよ」

2軍本拠地のカーミニークフィールドの、左翼に張られた高い防球ネット。野村は打撃練習で、山川と同様、それを超えていくという。

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1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。