<クラブ・ワールドカップ(W杯):鹿島1-3Rマドリード>◇準決勝◇19日◇アブダビ

初戦で逆転勝ちした勢いそのままに臨んだ鹿島アントラーズだったが、2年前の同大会決勝で敗れたレアル・マドリードとの再戦は、1-3というスコア以上の完敗だった。22日の3位決定戦では、南米王者のリバープレート(アルゼンチン)と対戦する。

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鉄則を守るべきだった。勝っている時の大原則は、メンバーをいじらないこと。チームは、勝つことで一体感が生まれ、どんどん膨らんで大きくなる。しかし初戦で失点に絡んだDF内田をスタメンから外し、西を入れた。その西が前半44分、ワンツーパスを許し、先制点を献上したのだから、やはり鉄則を守るべきだったのかもしれない。

レアルのようなチームは、先制されても取り返す力がある。もし鹿島が勝つとしたら、点を取るタイミングがすごく重要だった。我慢を重ね、0-0の時間帯を可能な限り長く保ち、最後の一刺しで仕留めることが、最も理想的な展開だったはず。鹿島はそのマネジメントができるチーム。しかし、前半のうちにその我慢が途切れると、逆転は難しい。後半開始からはレアルの勢いにのまれ、立て直しがきかなくなった。

次の相手は南米を制したリバープレート。背番号10の左利きマルティネスを中心に、FW19番のボレが鋭いタイミングでどんどんDFラインの裏を狙ってくる。ロシア・ワールドカップ日本戦で直接FKを決めたコロンビア代表MFキンテロもいる。全体のバランスが良く、多数の攻撃パターンがあり、守りづらい。

ビッグタイトルと大きな賞金がかかった大会で、欧州、南米王者と連続で戦えることは幸せなことだ。互角の戦いが難しくても、勝つことはできる。レアル戦の前半30分までの戦い、初戦のグアダラハラ戦でみせた集中力があれば、世界3位はみえてくる。さらにこの大会を通じて得た貴重な経験は、来季以降のJリーグにも生きるはずだ。(日刊スポーツ評論家)