あけましておめでとうございます。いよいよ、W杯イヤーの2018年になりました。どの選手がメンバーに選ばれ、どんな試合を見せてくれるのか-。今から楽しみなことが多いですが、将来の日本代表を担う高校生の活躍にも注目しています。

 昨年12月30日に全国高校サッカー選手権が開幕し、5日で4強が出そろいました。残念ながら、私が担当した静岡県代表の清水桜が丘は初戦敗退でしたが、今後の活躍を期待している選手がいます。

 主将を務めたFW白井海斗(3年)です。同校では1年から主力として活躍。県大会ではMVPに輝き、チームを初優勝に導きました。足元の技術が高く、攻撃センスも抜群。ワンプレーで試合展開をガラッと変えられる選手です。

 高川学園(山口)との試合では、PKを失敗してチームも敗戦。万全のコンディションではない中ではベストを尽くしたと思います。白井は大会前に左ひじを負傷し、ぶっつけ本番でした。高川学園戦は後半8分から出場。患部をテーピングで固定しながらプレーしました。試合後は号泣して、1人で責任を感じていました。「自分がPKを決めていれば違った展開だった。僕の僕の力不足です」。そして、ケガを言い訳にしなかった。その姿勢は立派でした。

 実は、白井は生まれつき心臓に持病を抱えています。医師の診断ではプレーに全く支障はないものの、Jリーグの規定により、中学時代に所属していた清水ジュニアユースからユースへの昇格が断たれました。規定改定がなければ、プロになる道は厳しいのが現状です。そのことを理解している白井ですが、とても強い意志を持っています。

 「プロになる夢をあきらめことはないですし、これからも夢が変わることはありません」。

 高校卒業後は順大に進学します。プロ入りは4年後になるのか、さらに先なのか。それともプロにはなれないのか-。先のことは分かりませんが、白井の実力なら必ず夢はかなうと信じています。

 私としては、清水桜が丘が全国選手権を勝ち抜いて、もっと彼の存在を知ってほしかったのが本音です。今月4日には新チームが始動。部室の片付けなどで学校を訪れた白井はすがすがしい表情でした。「今年のチームは僕らよりも強いと思います。今は1日でも早くケガを治して、大学でまた頑張ります」。

全国的には無名のまま高校生活を終えた「白井海斗」。その名が世にとどろく日は、そう遠くないと感じています。


 ◆神谷亮磨(かみや・りょうま)1985年(昭60)8月28日、静岡市清水区生まれ。幼稚園からサッカーを始め、高校は東海大静岡翔洋(旧東海大一)でプレー。08年入社。担当は11、12年に磐田、13、14年にアマチュアサッカー、15年から清水。現在はJ3沼津や高校サッカーなどを担当。