フリーマーケットアプリ大手「メルカリ」を親会社に迎えた鹿島アントラーズが、斬新なキャンペーンを行っている。メルカリが展開するスマホ決済サービス「メルペイ」でキャンペーン期間中に特別招待コード「KASHIMA」を入力して本人確認・登録を行えば、メルペイから鹿島のトップチームに強化費として1000円が支払われるというものだ。いかにしてこの大胆なキャンペーンは生まれたのだろうか。


◇◇  ◇◇


11月9日から始まった前述のキャンペーンには、第1弾があった。同じく「メルペイ」でキャンペーン期間中に特別招待コード「KASHIMA」を入力して本人確認・登録をすれば、登録1人あたり1000円が鹿島のアカデミー強化費になる、というものだった。約1カ月の実施期間で、8655人のサポーターがメルペイに登録。約870万円が、アカデミー強化費としてアントラーズに渡った。メルカリからアントラーズに出向しており、このキャンペーンを担当している深見和樹氏は「予想していた数字は公表できないが、目標を大幅に達成した」と、キャンペーンの成功を感じている。

そこで、第2弾である。第1弾で登録した人が第2弾で再度登録することはできないが、今度はより広いファン層を巻き込むことを目指している。深見氏はこれらのキャンペーンの狙いを「サポーターが“自分ごと”としてとらえて『登録しよう』と思えるようにしたかった。クラブにお金が入り、何に使われるかのストーリーを作ることで、ファンは率先して協力的にやってくれると考えた」と明かす。

サポーターの立場になってみれば、自身の行動がクラブにどれだけの利益をもたらしているかを知る機会はまずない。グッズをいくら購入しても、どれだけスタジアムに足を運んでも、自身が落としたお金のうち何割が“利益”としてクラブのプラスになっているか、それが何に使われているかは、明確でなかった。

そこを明確化することに、深見氏はこだわった。「明確にすることで、サポーターが“自分ごと化”できる。クラウドファンディングに近い。グッズやチケットの収入よりも、ダイレクトに『このお金は強化費に使います』の方が明確。サポーターのツイッターを見ていても、『これ、登録したら満男さん(アカデミーアドバイザーの小笠原氏)にお金が入るの?』と言っている方がいた。系譜が分かりやすいストーリーになっている」。アイドルの「投げ銭」のような感覚で、サポーターがチームにお金を落とせる構造を目指したのだ。


◇◇  ◇◇


そもそもこれらのキャンペーンの裏には、鹿島がスポンサー企業との関係性において目指す“協業型パートナーシップ”の精神がある。「ユニホームの背中に企業名を表示するのに何円」ではなく、「鹿島を介して企業の課題解決を図る」という関係性だ。メルカリが親会社となり、より強固な結びつきができたことで、今回のように大胆な取り組みが可能となった。

メルカリと鹿島、双方にとって「ウィンウィン」のキャンペーン。果たしていくらがトップチームの強化費として支払われるのか、楽しみだ。