来季北海道コンサドーレ札幌への加入が内定している逸材が、夢と希望に満ちていて、まぶしい。国見高FW中島大嘉(たいか、18)だ。188センチの長身ストライカーでスピードが武器。才能は十分で成長が期待できる。サッカー選手としてのキャリア、目標を明確に描けており、何より、発言も魅力にあふれる。まず驚かされたのは、加入内定が発表された8月28日、クラブを通じて出したコメント。「最終目標はバロンドールをとることです」。世界一をいきなり宣言した。

難しい道のりであることは理解している。だから達成のための逆算もしている。1日に行われた記者会見では「3年以内に海外、ヨーロッパに行く。結果を残さないと行けないので、3年以内には札幌でタイトルを取って成長してヨーロッパにチャレンジする」と語った。ライバルとして名前を挙げたのはドルトムントの20歳FWハーランド。「今は笑われると思うけど、世界で同年代で活躍しているのでライバルだと思っている。追い越してもっと上に行けるように頑張りたい」。世界を見据えたスケールの大きさが心地よい。

度胸は満点。10日から札幌の練習に参加している。取材対応時も堂々としており「関西人(大阪出身)なのでしゃべるのが好き」らしく、素直な言葉で笑いを誘いながら、場を和ませる。練習初参加の感想を聞かれれば「プロってすげーなって思った」と感心し、「選手も当然だけど、スタッフもうまくて、うますぎてなんやねんって思った。頑張らなあかんなって思った」。そのポストプレーにあこがれを抱くチーム最年長38歳FWジェイについて「親と同じ年齢。そこはすごいなって。グイグイいこうかな」と、“親子”レッスンを熱望していた。約3週間の練習参加期間でのJリーグデビューについて「ワンチャン狙って来ました」と言った時の笑顔もちゃめっ気たっぷりだった。

父優さんも国見高出身で、東京VのFW大久保の1学年先輩だった。名前の由来は「嘉人より大きくなって欲しい」と、父の願いが込められているという。由来説明時「中島美嘉とは全然関係なくて」と、1文字違いの歌姫に触れてジョークを入れていたことも記しておきたい。

夢実現の前に、直近の目標は全国高校選手権出場。6度日本一に輝く名門を10年ぶりに全国へ導くつもりだ。現在の練習参加中にプロのレベルを感じて成長して欲しい。【保坂果那】(ニッカンスポーツ・コム/スポーツコラム「We Love Sports」)

◆中島大嘉(なかしま・たいか)2002年(平14)6月8日、大阪府生まれ。小学時代はアイリスFC住吉、中学はリップエース(いずれも大阪)から、長崎・国見高へ。50メートル走は6秒0。187センチ、77キロ