サッカー日本代表で活躍した名波浩(45=磐田監督)と宮本恒靖(41=G大阪U-23監督)がWOWOWの特別番組で対談し、W杯ロシア大会に臨む日本代表について語った。

 前編では日本代表はロシアでいかに戦うべきか、そして日本のサッカーの進むべき道を、名波が大いに語った。後編では、02年日韓、06年ドイツと2大会連続でW杯日本代表の主将を任された宮本が、何を思うのかに迫る。

 現在は下部組織から在籍し、長くプレーしたG大阪でJ3に参戦するU-23チームを率いている。代表候補の選手にフォーカスし、現役時代さながらの理論的な分析をしてみせた。

 話題は、世界最高峰といわれるスペインリーグで活躍する日本人選手に。乾貴士(エイバル)と柴崎岳(ヘタフェ)が在籍している。特に、乾は日本人が何度も挑戦して苦しんだ、リーガでしっかり結果を出している。

 W杯ロシア大会のキーマンになりそうな乾について、宮本はこう分析した。

 「乾というと、ドリブルとか攻撃のイメージの選手だけど、最近の試合を見ると守備面での頑張りがすごい。本人に会う機会があって話しましたが、本人も『チームの中盤には上手い選手が多いので、自分が生き残るために守備をやらないと試合に出られない』と認めていました。あの乾がそういう考えになったのだと感心しました」

 ここに、日本人が世界で戦い結果を出す、そしてロシアで日本代表が結果を出すためのヒントがある。

 「スペインサッカーはテクニックと言われますが、それだけでなくボールを奪う技術もすごくあるし、戦術に対して求められるタスクもすごく大きい。それを日本人選手がしっかりやるのはうれしいと思って見ています」

 日本代表は、W杯まで約2カ月で、ハリルホジッチ監督が電撃解任され、西野監督が就任した。いきなり新しい体制でW杯に出場することになった。準備不足は否めない。

 ただ、W杯で日本人監督が指揮を執るのは、岡田武史監督が率いた10年南アフリカ大会以来。日本人の指導者で、次世代を担う大きな期待を背負う名波と宮本。2人の言葉は気になるところだ。

 互いに多忙で、責任の重い仕事をする2人の対談は、ハリルホジッチ監督の電撃解任前だった。ただ、現役監督2人の対談。話題は自然に日本代表監督に及んだ。この2人の指導者には未来がある。

 宮本から「代表監督は?」と振られた名波は、ズバリ「ツネが代表監督になればいいんだよ。今もし代表監督を要請されたら、システムやメンバーはもう頭にあるでしょ?」といきなり目の前の人物を代表監督に“指名”した。

 これに対し、宮本は「そういうのは持っていますね」と答えた。名波も「俺も、どの年代になってもそういうのはずっと持っていたい」と同意。やはり、日本代表への忠誠心、熱い思いは現役時代から一切変わらないようだ。

 そして名波はこう言った。「心を持っていない代表チームは見たくないね」。自分の胸、ハートを指さしながら。これが、偉大な先輩からW杯ロシア大会を戦う選手たちへの何よりのエール。宮本も隣で静かにうなずいた。

(敬称略、おわり)

※番組は5月3日(木・祝)午後6時30分からWOWOWプライムで無料放送