東京五輪の戦いを終え、A代表の闘いが幕を開ける。

22年ワールドカップ(W杯)カタール大会のアジア最終予選に臨む日本代表(FIFAランク24位)は、9月2日にオマーン代表(同79位)(大阪・パナスタ)との初戦を迎える。同じB組には、オーストラリア(同35位)、サウジアラビア(同61位)など強豪国も控える。

日本にとっての壁は-。3回にわたって、検証する。第1回は「中東の笛」。

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笛は吹くもの。笛は試合開始を告げ、ファウルを警告し、給水タイムを知らせる。得点が認められれば、笛が鳴る。試合終了も、ホイッスルの音が響く。サッカーにおいて、笛はそういう役割を担う。試合をコントロールするはずの笛だが、「中東の笛」は勝利を左右する。

昨年1月15日、U-23アジア選手権。1次リーグでカタールと戦った日本は前半終了間際にMF田中碧が、退場処分を受けた。田中は中盤でルーズボールをキープした際に相手と接触。プレーは続行されたが、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)により、レッドカードの判定に変わった。映像を見ると、田中の右足は相手よりも先に触れている。ボールの上を滑り、相手の右足首に当たったが、明らかに故意のモノとはかけ離れていた。

何より、主審はプレーを続行している。そこに? ファウルとも見なされなかったプレーが、VARに発展し、一発退場への笛を鳴らした。シンガポールのムハンマド・タキ主審は、そこからも不可解な笛を鳴らした。10人の日本は先制に成功したが、直後にPKを献上。途中出場のMF斉藤未月がペナルティーエリア内で倒したという。これも微妙な判定。日本選手がVARを求めるも、その要求が通ることはなかった。そして、同点のゴールを告げる笛が鳴り、試合は1-1で引き分けた。

日本に味方となったホイッスルもあった。19年アジア杯。1次リーグでオマーンと対戦した日本は、PKで先制。反対にペナルティーエリアの中でオマーンのシュートがDF長友佑都の左手に当たったが、笛は鳴らなかった。長友は試合後、「腕に当たりましたね。僕の」と素直に認めた。VARは準々決勝まで導入されず「VARがなくて良かったな、とホッとしてます。結果的に『神の手』になって良かったな、って」と勝利を手にした。

今回のW杯アジア最終予選から本大会に進めるのは「4・5」枠。B組の日本は2日にオマーンと初戦を終えた後、7日にカタール・ドーハで中国と相まみえる。中東の地で、きれいな笛が吹かれることを願う。【栗田尚樹】

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