【ドーハ(カタール)1日=磯綾乃】これまでに類を見ない、「超コンパクト」なワールドカップ(W杯)になる。試合が開催される8会場は全て、ドーハの中心部から車で約30分あればアクセス可能。一番離れたスタジアム間も約70キロだ。その近さを象徴するのが、W杯開催とともに造られた地下鉄「ドーハメトロ」。史上初の中東での開催は、選手に優しい、ファンにも優しい大会だ。

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対戦国とともに選手の壁になるのが、長い移動距離だ。前回18年ロシア大会1次リーグでは、日本のスタジアム間移動距離は、H組最長の計2410・4キロ。東京~大阪間2往復半とほぼ同じだった。

「ファンにとってもいいことですし、選手にとっても移動の負担がなくプレーできるでしょう」。そう話していたのは、カタール大会組織委員会・報道担当トップを務めるファトマ・アルヌアイミ氏。初の中東開催は、初の超コンパクト大会になる。

8会場は全て、ドーハ市内か近郊に位置。最も距離がある「アルベイトスタジアム」と「アルジャヌーブスタジアム」でも、約70キロしか離れていない。このアクセスのしやすさを象徴するのが、W杯に合わせて造られた、全自動無人運転の地下鉄「ドーハメトロ」だ。

レッド、グリーン、ゴールドの3路線がスタジアムをつなぐ。驚きの近さにあるのが、グリーンライン沿いにある「エデュケーション・シティー・スタジアム」と「アフマド・ビン・アリ・スタジアム」。2つは約7分で行ける隣駅に位置し、スタジアム間も約10キロ。東京でいうと、新宿と秋葉原にスタジアムがあるイメージだろうか。

レッドラインの終点にあるルセイル駅を降りると、すぐ目の前に「ルセイル・アイコニック・スタジアム」が姿を現す。決勝が行われる会場の大きさと美しさに、目を奪われること間違いない。そこから車で20分ほど乗れば、「アルベイトスタジアム」に到着。1日で“はしご観戦”だって楽々だ。

実際に乗車してみると、移動の手軽さを実感した。距離の近さはもちろん、どこへ行っても一律2カタールリヤル(約67円)。しかも、大会中はチケット購入者が取得できるカードさえあれば無料になる。スタジアムがある出口には、サッカーボールのマークが記されるなど、海外からでも一目で分かる。10カタールリヤル(約335円)払えば、リッチな「ゴールドクラブ」車両に乗れるのも面白い。

暑さが懸念される今大会は、冷水の循環によって冷やされた空気がピッチやスタンドに供給されるという。プレー環境は選手に優しく、観戦スタイルはファンに優しい大会になりそうだ。