リオデジャネイロ五輪出場を決めたU-23(23歳以下)日本代表が、大逆転でアジアの頂点に立った。決勝で同韓国代表を0-2から後半、一気の3連続得点で逆転。五輪最終予選で34戦負けなしだった永遠のライバルを、途中出場FW浅野拓磨(21=広島)の2得点などでねじ伏せた。同五輪アジア最終予選を兼ねたU-23アジア選手権を制したチームは、今日31日に凱旋(がいせん)帰国する。

 得点に飢えて飢えて仕方なかった浅野が、最後に爆発した。後半22分に今大会1点目を決め、2-2で迎えた36分、MF中島の前方への浮き球パスで抜け出す。競り合ったDFを反転してかわし、チーム最速タイの50メートル5秒9を誇る快足でGKと1対1に。左足で冷静にゴール右へ流し込み、ついに試合をひっくり返した。試合前に宣言していたジャガーポーズを両手で披露。一時2点を追ったチームの救世主になった。

 やはり最強ライバルは韓国だった。敵将の申監督が「地球が滅亡するまで続く」と形容した日韓戦。開始20分、いきなり先制点を奪われた。自陣右からのクロスのクリアボールをMF権が右足ボレー。当たり損ねたがDF岩波の左膝に当たってコースが変わり、ゴールに吸い込まれた。先制されたのは今大会初。14年のチーム結成以降、先制された試合は3戦全敗のチームに重い1点がのしかかった。

 14年9月のアジア大会で完敗した韓国は唯一、勝ったことがない相手。FW鈴木を負傷、MF南野をチーム事情で欠く攻撃陣も前半は得点を奪えない。初めてビハインドで折り返した。

 相手は五輪最終予選で34戦負けなし。後半2分には追加点を許した。堅守を生命線にしてきたチームの複数失点は14年のアジア大会イラク戦以来、実に21戦ぶりだった。しかし、ここから日本の反撃が始まる。後半22分、MF矢島の縦パスを受けた途中出場の浅野が右足でゴールに流し込む。快足でGKより先にボールへ追いつき、この日1点目を決めた。その、わずか53秒後。電光石火の同点弾が生まれた。DF山中の左クロスをMF矢島が頭で押し込んだ。今大会の慣例となった、ベンチの仲間との喜びの分かち合い。韓国に完敗した1年4カ月前のアジア大会では、足をつって交代し「手も足も出なかった」男が同点弾を決めた。

 大会前は6大会連続の五輪出場が危ぶまれたが、準決勝で2戦2敗のイラクにリベンジ。五輪切符をつかみ「ドーハの歓喜」に沸いた。それでも指揮官の胴上げは封印した。「決勝で韓国に勝ってから」と遠藤主将。チーム結成3年目で初の逆転勝ち、初の韓国戦勝利。反逆の物語を完結させ、アジア王者としてリオ五輪に乗り込む。【木下淳】