全国高校サッカー選手権(12月30日開幕)の組み合わせ抽選が21日、都内で行われ、超高校級DFタビナス・ジェファーソン主将(3年)を擁する桐光学園(神奈川)は1回戦で長崎総合科学大付と対戦することが決まった。すでに川崎F入りが内定し、20年東京五輪への出場も期待される有望株。勝ち進めば準々決勝までの4試合を川崎Fのホーム、等々力ででき、あいさつがわりのプレーを披露する。

 前回優勝の東福岡など強豪ひしめくブロックに入ったが、タビナスは「全然気にしていない」とあっさりしていた。本職の左サイドバックに、センターバックや中盤もこなす身長182センチの万能選手。今夏の全国高校総体は出場を逃し、今大会に懸ける思いは強い。「全国制覇のために桐光に入ったが、一戦必勝で」と沸き上がる闘志を抑えた。

 約30年前に来日したガーナ人の父とフィリピン人の母を持つ。身体能力は規格外だ。最終ラインから1発で右の前線へサイドチェンジでき、一瞬で相手を置き去りにする加速力も群を抜く。川崎Fの練習参加した際は左足から精度の高いクロスを上げ、攻撃センスでクラブ首脳をうならせた。

 「本当に縁がある」と話す巡り合わせだ。G大阪や横浜、東京などオファーがあった7クラブから川崎Fを選んだ。その本拠地、等々力で準々決勝まで最大4試合できる。川崎Fの練習場は桐光学園から徒歩約10分と、もともと親近感があった。入学後は試合も観戦し、速いパスワークを生かした攻撃サッカーに共感した。「等々力で名刺代わりのプレーをしたい」。気持ちはさらに高まった。

 国籍はフィリピンだが、取得申請が可能になる20歳を待っての日本国籍取得を前向きに検討中。取得できれば、東京五輪への出場資格も得られる。注目度が高まり「プレッシャーがないといえばうそ」と話すが、言葉とは裏腹に目には力がこもっていた。「こいつがプロで正解だと言われるようなプレーをしたい」。真っすぐな視線の先で、はっきりと初の日本一をイメージした。【岡崎悠利】

 ◆タビナス・ジェファーソン 1998年8月7日、東京都新宿区生まれ。FC早稲田でサッカーを始め、牛込第二中時代はFCトリプレッタに所属。昨年の全国高校選手権ではベスト16に進出し、優秀選手に選出された。弟ポールは現在中2で、FCトリプレッタでFWとDFとして活躍。利き足は左。愛称はジェフ。182センチ、77キロ。