北海道コンサドーレ札幌は大宮アルディージャに2-2で引き分けた。後半開始4分で2失点の劣勢も、後半36分とロスタイムにDF福森晃斗(24)が直接FKを決め、勝ち点1をつかんだ。開幕からの今季アウェー未勝利は10戦に伸びたが、4月30日磐田戦(ヤマハ)以来の敵地での勝ち点となった。勝ち点1差の15位大宮との直接対決で踏ん張り、4勝4分け10敗の勝ち点16で15位をキープした。

 敗色濃厚から一転。ラストプレーで崖っぷちからはい上がった札幌イレブンは、勝ったかのように、敵地に駆けつけた約2200人のサポーターと喜びを分かち合った。残留を争うライバルからもぎ取った、価値ある「勝ち点1」。直接FK弾で、大宮を失意の底に沈めたDF福森は「1試合でFK2発というのは、人生で初めてだと思う。奇跡。もう、ないんじゃないかなって」と、おどけた。

 後半の立ち上がりに連続失点し、2点のビハインド。劣勢に立ったことで、攻撃のスイッチが入った。怒とうのシュートラッシュで相手ゴールを脅かし、迎えた後半36分。背番号24の左足がさえた。ペナルティーエリア(PA)手前中央で得たFKのチャンス。MF小野とボール脇に立った福森は、じっくりと考えた。「芝がぬれていたし、ファーサイドに蹴れば何か起きるかも」。ハーフタイムの散水で、ピッチは水分をたっぷりと含んでいた。狙いどおりの軌道で飛んだボールは、左ポストに当たってゴールに吸い込まれた。

 同ロスタイムには、左22メートルのFK。「1枚目の壁がちょっと小さいなって。ここを越えれば入ると思った」。第9節磐田戦(ヤマハ)、壁を作っていた自分の頭上を越えて失点した相手FKが、頭をよぎった。鋭い軌道でゴールに突き刺さった同点弾。ネットが揺れると同時に、試合終了のホイッスルが響いた。

 「FKはチームNO・1だけど、まさか同じ試合で2点取るとは」。四方田監督も驚いた奇跡の一夜が、反攻への幕開けとなる。【中島宙恵】

 ◆札幌の今季得点 J1で挙げた全16点のうち、56%に当たる9点はセットプレーから。時間帯別では、前半15分まで4点、前半16~30分1点、前半31分~前半終了3点、後半15分まで2点、後半16~30分2点、後半31分~試合終了4点。