台風21号による暴風雨で24日に水没した、J2湘南ベルマーレの練習場・神奈川県平塚市の馬入ふれあい公園サッカー場天然芝グラウンドは、一夜明けた25日も湘南のスタッフとサポーター約100人が泥などの除去作業を行った。ただ、グラウンド横を流れる相模川から流れ込んだ、大量の泥水が芝の間に入り込んだピッチは水田状態。ヘドロやゴミなどの漂着物も堆積しており、復旧のめどが立たない状態だ。

 曹貴裁監督(48)は、BMWスタジアムでの練習後、その足で馬入に視察に訪れると「ひどい…ひど過ぎる」と絶句した。2面ある天然芝のピッチは、泥で茶色に染まっていた。一見、緑の芝も各所にあるが、ホースで水をかけると、芝と芝の間から大量の泥やヘドロが流れ出てきて、すぐに真っ茶色に染まった。

 ピッチ内に足を踏み入れると、1歩進むごとに泥と泥水が湧き出てきて、足を取られそうになる。湘南のスタッフとサポーターは、胸まで泥をかぶりながら「ヤバい!!」、「頑張ろう!!」などと声を掛け合いながら、ピッチにホースで水を掛け、トンボで泥を除去し続けたが、泥はあふれるばかり。さらにひどいのが、ペットボトルをはじめとしたゴミ、流木などの漂着物で、ピッチ脇によけたまま、堆積している状態。自然災害の爪跡が、残酷なまでに残っていた。

 他のチームを走力で圧倒し、人が人を追い越す、縦に速い攻撃がウリの“湘南スタイル”を作り上げた馬入のピッチは無残に変わり果て、とても練習など出来る状態ではなかった。今季は4試合を残すが、クラブ関係者は「グラウンドキーパーも『復旧のめどが立たない』と言っている。今季、ここで練習するのは難しいかも知れません」と肩を落とした。

 MF菊地俊介(25)は練習後、「僕が入団してからも毎年、台風があるたびに冠水したことはありますけど、ここまでグラウンドがひどいのは初めてで…ショックでした」と本音を吐露した。一方で、クラブが急きょ、公式サイトでボランティアへの協力を呼び掛けて駆け付けたサポーターをはじめ、復旧作業に尽力している人々に感謝した。「(除去)作業してくださっている人のために、僕らは練習して、勝ち点3を取るのが恩返しになると思う。来てくださった方々に、すごく感謝しているし、フロントの方も、泥だらけになって作業してくださったのを、僕らは知っている。勝ち点3をプレゼントしたい」と29日のファジアーノ岡山戦の必勝を誓った。

 湘南は26日にも復旧作業を行うと発表し、ボランティアを募集した。復旧作業は午前9時から同11時半、午後1時から同5時まで行う予定。【村上幸将】