“ミスターセレッソ”森島寛晃強化部長(45)は、やっと手にした悲願の初タイトルに心を震わせた。自らも優勝トロフィーを掲げたが「持ち方が分からなくて」と笑わせて「選手たちは『自分たちの手で歴史を変える』と、試合前から言っていた。最後まで体を張って頑張った。非常にいい瞬間を味わえることができました」。

 試合後は歓喜の輪に加わり、選手からも胴上げされた。ただ、宙に舞ったのは2回だけ。2回目で下に落とされた。「もうちょっと宙を舞いたかった(笑い)。『重たっ』って言って、みんな誰もいなくなったので。あれはちょっと意図的やったと思いますね」。そんな姿はミスターセレッソとして愛されるがゆえ。サポーターから大きな「モリシ」コールも起こり「今まで『勝負弱い森島』というサポーターの声援が『ようやく取れたぞ』という声に変わった瞬間だった」と感慨に浸った。

 思い起こせば、幾度となくタイトルを逃してきた。00年第1ステージでは、勝てば優勝の最終節で下位の川崎Fに敗れて2位に甘んじた。天皇杯でも準優勝を3度味わった。そして05年のリーグ戦、勝てば優勝だった最終節で終了間際に追いつかれて、涙に明け暮れた。「ここ一番に弱い」が定着していた。その負のレッテルを、強化部長に就任した初年度に、後輩たちが晴らしてくれた。

 「どういうポジションになっても『セレッソが優勝する』ということをずっと思っていて、引退してからでも、この瞬間はここにいたいという思いでずっといました。監督を含め、選手たちがチーム一丸となって、みんなで味わわせてもらえました」と感謝した。