J2湘南ベルマーレが6日、台風21号による暴風雨で10月24日に水没した、神奈川県平塚市の馬入ふれあい公園サッカー場天然芝グラウンドでの練習を本格再開した。1-2で敗れた5日のアビスパ福岡戦前日の4日に一部、非公開練習は行っていたが、同戦後に福岡から戻った主力組は調整練習、控え組は練習を行った。

 台風21号の直撃を受けた10月24日、グラウンドには横を流れる相模川から大量の泥水とヘドロがピッチ内に流れ、芝の間に入り込み、ピッチは水田状態となった。さらにヘドロやゴミなどの漂着物も堆積し、一時は復旧のめどが立たない状態となった。

 クラブが同日に公式サイトでボランティアを募り、サポーターらが駆け付け、約50人で復旧作業を行った。そのことがインターネット上で広がり、報道されたことを受けて、地域住民や他クラブのサポーターまでが駆け付けて、多い時は100人がかりでの復旧作業が連日、続いた。泥の除去も進み、同28日にボランティアの募集は終了。ファジアーノ岡山戦で優勝を決めた同29日には台風22号も通過したが、馬入練習場の状態は保たれた。

 クラブ関係者によると、泥は完全には除去できておらず、元通りに洗い流すことは難しいという。ただ、その上に土をまき、芝の種をまいて「もう1層、上に作る感覚」で、ピッチの再構築を進めているという。6日の練習後もスタッフが砂をまく一方、別のスタッフがピッチ脇に残った泥を、水をまいて除去した。またゴミやヘドロなどの堆積物を、重機で除去するスタッフもいた。この日は天気が良かったこともあり、再び緑が戻ってきた馬入練習場のピッチを感慨深げに見詰め、しばらくたたずむサポーターもいた。

 11日のFC岐阜戦(長良川)、同19日のFC町田ゼルビアとの最終戦(BMWス)と、今季も残り2試合となった。その中、相手を走力で圧倒し、人が人を追い越す全員攻撃、全員守備の“湘南スタイル”を作り上げた馬入のピッチが復活した。日々の鍛錬、1試合、1試合の積み重ねでJ1昇格をつかみ取った湘南にとって、今季中に馬入練習場が復旧した意味は実に大きい。【村上幸将】