北海道コンサドーレ札幌の新監督、ミハイロ・ペトロビッチ氏(60)が7日、練習拠点の札幌・宮の沢を訪問した。約3時間の滞在ではグラウンドなどを視察。クラブハウス内でのコーチ陣らとの初めての顔合わせでは約2時間、コミュニケーションを図った。広島、浦和で計12年指揮を執った名将が、新天地での来季へ気持ちを奮い立たせた。

 雪景色が広がるピッチを見渡したペトロビッチ氏は白い息を吐きながらうなずいた。「私の仕事はグラウンドの上。私にとっては素晴らしい環境」と満足げな表情を浮かべた。国籍を持つオーストリアで過ごした時代も思い起こした。「国に戻ってきたような懐かしい、うれしい気分。現役のころは雪の上で練習していた」と、新監督は寒さも歓迎していた。

 宮の沢に到着後、すぐにコーチ陣らが待ち構えるクラブハウスへ直行。顔合わせがスタートした。あいさつでは「一緒に戦っていこう」と呼び掛けたという。休憩を挟むまでスタッフの言葉に耳を傾けながら約2時間、話し続けた。挟んだ休憩では「2時間も吸わなかったので」と、たばこをくゆらせた。

 愛煙家が喫煙も忘れるほど、熱を入れて聞き入ったのは、キャンプの過ごし方。リーグ開幕時もまだ雪が残る札幌は、年明けのキャンプから遠征続きとなる。これまで率いた広島、浦和に比べて長期のキャンプ。「札幌にはずっと帰って来られないのか? 選手も家族には会えないのか?」と心配し、選手やスタッフへの思いやりをのぞかせた。

 バトンを引き継ぐ四方田監督への気づかいも忘れなかった。J1昇格、残留に導き「素晴らしい結果を出してくれた」と称賛の言葉を直接掛けた。「本来チームを率いていくのが普通だと思うけど、私が監督になり、私の下で仕事をするのも、それもサッカー」と話し「スタッフの力が必要。全員で1つのチームとして強くなるために一丸で戦っていきたい」と共闘を誓った。

 年明けのチーム始動前に予定する就任会見を経て、新たなペトロビッチ体制が正式に幕を開ける。過去に率いた広島の途中就任時、浦和の就任前年がともに15位で、札幌は11位。「私の中では一番状態のいいチームを引き継ぐことになる。だからこそ、よりいい仕事をしたい。モチベーションは高い」と意気込む。「すてきなクリスマス、年越しを。アリガトウ。バイバイ」と、にこやかに手を振りながら去った名将が見せる自信が、来季のチームの飛躍を予感させた。【保坂果那】