全国高校サッカー選手権は30日に東京・駒沢陸上競技場で開幕する。今大会の応援マネジャーに就任した女優高橋ひかる(16)が25日、今夏の全国高校総体覇者で2冠を狙う流通経大柏(千葉)を突撃取材した。現役女子高生としての視点を交えながら、その強さの秘密、2冠の難しさに迫った。大会は関東近郊9会場で行われ、決勝は8日に埼玉スタジアムで開催される。

■2冠目指して上昇気流

 クリスマス返上で練習する選手らへ、うれしいプレゼントとなった。

 制服姿の高橋がスカートを揺らしながらグラウンドに現れると「うぉー!」と歓声が起こった。

 「チームの強みは何ですか?」

 現役の高校1年生でもある高橋から微笑を添えて質問されると、DF関川郁万(2年)は照れながら答えた。

 「監督が毎年ドイツに行っていて、ライプチヒのサッカーをお手本にしている。ハイプレスであれだけつなぐサッカーはそんなにない」

 敵陣深くからボールを奪いに行く戦い方は、昨季のブンデスリーガで昇格即2位と躍進したチームがモデルだった。突撃リポートで貴重な情報をゲットした。

 流通経大柏はここ20年では東福岡と国見(長崎)しか達成していない高校総体との2冠に挑戦する。高橋が「それは難しいのですか?」と聞くと、MF菊地泰智(3年)は「満足した感じになって、うまくいかない時期があった。これが2冠の難しさなのかなと思った」と総体後に気が緩んだと明かした。

 それでも本田裕一郎監督(70)やコーチからの叱咤(しった)で目を覚まし、高円宮杯U-18(18歳以下)プリンスリーグ関東2位でプレミアリーグ東日本に昇格。ここにきて上昇気流に乗りつつある。

■強豪揃う激戦ブロック

 今大会では、連覇を狙う青森山田や長崎総科大付、清水桜が丘(静岡)ら強豪ひしめく激戦ブロックに入った。高橋から対戦が楽しみなチームを問われると、それまで緩んでいた選手らの表情が一気に引き締まり、それぞれが語気を強めて答えた。宮本優太主将(3年)は順調にいけば準々決勝で対戦する青森山田を挙げた。

 「プロ内定者も2人いますし、その相手にどう戦えるのか。この大舞台で勝って、お前らに(優勝は)無理だぞって見せつけたい」

 また、菊地は「前橋育英ですね。プリンスリーグで負けて、総体で勝って、またプリンスで負けている。最後は勝って終わりたい」と同じ関東でしのぎを削ってきたライバルを“指名”。関川は「長崎総科大付ですね。総体の時に自分がマークしていた(相手のエースFW)安藤に決められた」とリベンジを誓った。

 最後はチームにおけるマネジャーの存在について聞いた。流通経大柏には6人の女子マネジャーがいる。宮本優は「水出しや洗濯とか雑用ばかりですけど、毎日文句なくやってくれる。本当にありがたいのひと言ですね」と感謝し、これには高橋も笑顔でうなずいていた。

 高橋が高校サッカーの現場を取材するのは初めて。本番に向け、各校の試合映像を見て勉強中で、選手から「どの試合を見たんですか」と逆取材を受ける場面もあった。時には学校生活の話題なども挟みながら約2時間にわたって選手たちの声を集め「直接、話を聞けて勉強になりましたし、本番が楽しみ」と応援マネジャーとしての熱もより高まった。

 各チームは最終の仕上げ段階。いよいよ30日から熱戦が始まる。【取材・構成=松尾幸之介】