北海道コンサドーレ札幌が敵地で清水エスパルスに2-1で逆転勝ちし、今季3度目の2連勝を飾った。

1-1で迎えた後半29分、FW都倉賢(32)が左足で決勝ゴールを奪った。3試合連発で、自身J1初のシーズン2桁となる今季10点目。バルデスに並ぶ札幌在籍時の通算最多70得点到達の節目となった。チームは2試合連続の逆転白星で4位に再浮上した。

都倉は最もゴールを決めた男に肩を並べた。公式戦通算70点目は後半29分だ。テンポ良く素早いパスさばきでつながれたボールは、ペナルティーエリア手前の都倉に送られた。相手をかわし、振り抜いた左足でゴール左に流し込んだ。ゴール裏のスタンドに駆け寄り、歓声を心地よく浴びた。昨季1点届かなかったシーズン2桁得点に乗せ「自分を誇りに思う」と胸を張った。

夢破れてやって来た札幌での記録達成だった。13年シーズン後、海外に挑戦した。年が明けても移籍先が決まらない中、デンマークのクラブで約1カ月間トライアルとして練習参加。わずかな望みにかけたが、吉報は届かなかった。帰国して成田空港で待っていたのは、札幌の三上大勝GM(46)だった。

そのまま空港でシャワーを浴び、スーツに着替えて面談した。海外でいつでも契約交渉ができるように持ち歩いていたものだ。「ほかに選択肢もないし、こうなったらもう1回、J2だったけど札幌でやろう」と再出発を決意した。あれから5年目。「コンサドーレの歴史の1つとして素晴らしいこと」と、クラブ史に名を刻む存在となった。

チームへの思いが、自身の成長にもつながっている。入団決定後に札幌に初めて来た14年3月、大雪で高速道路は通行止めで、新千歳空港から一般道路を使い、約3時間かかり札幌市内のホテルに到着。「面食らった」と雪のハンディはあっても環境面に感動した。「札幌という都市にJ1クラブがないとおかしい。このチームをどうやったら大きくなるかという部分まで考えてプレーしてきた」。チームの競争意識の足りなさを時には厳しく指摘した。だからこそ、自身を追い込み、ストライカーとして開花できた。

シーズンは続く。「まだ増やせる可能性はある」。次のゴールで単独最多になるが、都倉はより先を見据えて戦い続ける。【保坂果那】