<明治安田生命J1:札幌2-2広島>◇最終節◇1日◇札幌ド

北海道コンサドーレ札幌は今季最終戦で2位サンフレッチェ広島に2-2で引き分け、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場圏内の3位入りを逃した。初のACL切符は天皇杯の鹿島アントラーズの結果次第となったが、クラブ史上J1最高4位。ミハイロ・ペトロビッチ監督(61)が就任し、超攻撃的サッカーを掲げたシーズンで大躍進した。

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ペトロビッチ監督のポジティブ思考と陽気さがチームを明るくしている。9月15日、0-7で敗れた川崎フロンターレ戦後だ。現役時代の話を披露した。「1人の選手が『1回0-6で負けた方が、6回0-1で負けるよりいい』と言ったら、監督はメディアの前でそうコメントしたんだ」と懐かしんだ。「私も今日、本当は記者会見に来たくなかったけど、悲劇的な顔を見せる必要はない」と前を向いた。大敗にも決して悲観せず、選手を責めることもなかった。

お気に入りの魔法の言葉がある。練習前の朝、選手とのあいさつ時に右手を差し出しながら笑顔でテンション高めに言うのは「ダイジョーブ」のひと言。来日13年目の指揮官は、ミニゲーム中に組分けした色の「アカ」と「アオ」を、逆に言ってしまう時があるほど、日本語は苦手だ。それでも日本語で話し掛けようと努力し、明るく発するこのワードは選手のコンディションを気に掛ける気づかいと、背中を押す優しさにあふれ、気持ちを前向きにさせている。

魔法の言葉をもらった選手も笑顔で応え、気合を入れてグラウンドに飛び出していた。ちなみに記者も、監督からの「ダイジョーブ」が欲しくて、毎日握手を求めてから取材の1日をスタートさせていた。【保坂果那】