「積もってるなあ!」。ピッチに入場した帝京・中田浩二主将(現鹿島職員)は、一面の銀世界に目を見張った。

全国高校サッカー選手権(30日開幕)の平成時代を振り返る連載「HEY!SAY!サッカー選手権」。第3回は「雪の決勝」として語り継がれる平成9年度(97年度)の第76回大会だ。「黄金世代」が高3で迎えた同大会決勝は、帝京と東福岡が顔を合わせた。

キックオフ1時間前から降り始めた雪でピッチはまっ白。蹴るサッカーを選んだ帝京に対し、本山雅志擁する東福岡は巧みにパスをつなぎ対抗、帝京は逆転負けを喫した。鹿島に同期入団した本山氏からは試合後「一緒に鹿島で頑張ろう」と声をかけられた。

もしあの日、雪が降っていなければ-。そう考えることもあるという。

中田氏 勝ってただろうなと思いますね。なぜって? そう思うしかないじゃないですか(笑い)。モト(本山)と飲んだ時はよく雪の決勝の話になるけど、モトも人がいいから「晴れてたら帝京勝ってたよね~」と言ってくれます。

近年では13年の決勝が大雪に見舞われたが、延期の措置がとられた。

中田氏 僕らの時もやらなくてよかったんじゃないかと思うこともあったけど、それがあったから13年が延期になったのかもしれないし、僕らのしたことは1つの基準になったのかな。

「雪の決勝」はさまざまな側面で日本サッカー史に色濃く残っている。【杉山理紗】