コンサドーレ札幌を発足当時から応援する旭川市出身の小説家、小路幸也氏(57)が、19年シーズンを占った。サポーター目線で、クラブJ1史上最高4位から迎える次のシーズンをどう見るのか。順位、注目選手、クラブ人気定着のためには…。人気作家が語った。【取材・構成=保坂果那】

-いつから札幌の応援を

小路 (96年の)発足当時から。もともと僕はレッズサポーターだったんです。三菱の時代から。福田とかが好きだった。だけど、コンサができるっていうんで、そりゃ地元だから乗り換えようって。ずっと試合は見てます。現地にはなかなか行けないけど、テレビやネットで。その時間は仕事もしません。

-サッカーが好きだった

小路 68年メキシコ五輪の時はすごいブームだった。みんなサッカーか野球をやっていた。Jリーグ発足(93年)も本当に大喜びしました。これでサッカーが普通にテレビで見られると。

-長年応援しているサポーターにとって昨季の躍進は

小路 幸せでした。だけど、ちょっとびっくりした。こんなにもうまくミシャ(ペトロビッチ監督)の戦術がはまるものかと。苦労するだろうと思っていた。どこまでフィットするのかって。フィットしちゃいましたよね。(前監督の)四方田さんのベースがあるからね。4位は喜んだけどちょっとびっくりしたが本音。ACL行きそうって時は「まだちょっと早いんじゃないか」と思ったり。苦しいシーズンがありすぎた。本当にエレベーターチームでしたから。

-今季をどう予想する

小路 目標は低く10位以内。新しくチームを作り直さないといけないので。今季じゃなくて2年後くらいにACLに行けるんじゃないかと期待している。後半に都倉が活躍するパターンが消えたから、そこをミシャがどうするか。

-期待の選手は

小路 引き続きチャナ(ティップ)は期待。ようやくJ1に慣れて、ミシャに代わってから「自分で決めるんだ」っていう積極性が出た。菅君もどうかな。去年シーズン終盤で苦手な守備が良かった試合があった。間合いの取り方がものすごく良くて、インターセプトしていた。ひょっとして開眼したのかな。あの間合いさえ獲得してくれれば今年(ブレークが)来そう。

-新加入選手は

小路 U-21日本代表の岩崎君はいい選手。よく札幌に来たなって思っている。いい顔ぶれ。鈴木武蔵選手も一皮むけたらぐっと上がってくると思う。ミシャがどう組み合わせてくるのかな。幸い攻撃陣ががらっと変わるから、相手チームが去年の研究をしても、そこそこいけると思う。ジェイはすごく献身的になってきて、ディフェンスもやるようになった。新しく入った選手は前に出るタイプが多い。そういう意味では新しいパターンが出てくるのかな。

-札幌の人気アップはどうすれば

小路 一番手っ取り早いのは、誰かが日本代表に入る。ずっと日本代表が必ずいるチームに。鹿島とかレッズとか、かつての横浜とか。そうなってくれるのがいい。あとは地道に勝ち続けること。勝って勝ってレッズのようなとんでもない数のサポーターを抱えられるようになれば。

-サッカーを題材にした作品は

小路 野球は間があるから書けるけど、サッカーって間がないスポーツなので試合の様子を書こうとすると、めっちゃ難しい。絵で見せる漫画ならいいけど、文章で読ませるサッカーって難しい。今のところ書く予定はないけど、書くとしたらサッカーの脇。サッカーにまつわる人たちのドラマなら、機会があれば書けるだろうな。選手自体を主人公にするのは難しいと思う。試合に触れなきゃならないので。多分だけど、サッカーは試合感覚が1人1人全く違うと思う。それを表現するのが難しいって想像している。突き詰めて聞いていくと、同じピッチにいても全く違う試合感覚だと思う。それをどう表現するのか。サッカーを愛した男たちの物語とかなら書けるかな。

◆小路幸也(しょうじ・ゆきや)1961年(昭36)、旭川市生まれ。85年に札幌市内の広告制作会社に就職し、91年から執筆活動を本格的に開始。99年に退社し、02年に「空を見上げる古い歌を口ずさむ」がメフィスト賞に選ばれ、03年にデビュー。シリーズ化している「東京バンドワゴン」や「東京公園」はテレビドラマや映画化されている。最新作は昨年12月に発売された「テレビ探偵」。江別市在住。