北海道コンサドーレ札幌がジュビロ磐田を2-1で下し、今季初3連勝で「平成最終戦」を締めた。

DF進藤亮佑(22)が1ゴール、1アシスト。1-0の前半ロスタイム2分に右CKからヘディングで決めた追加点は、クラブの平成ラストゴールとなった。チームが誕生した96年に札幌市で生まれ、下部組織で育った生え抜きは、5勝4敗で7位に浮上したチームとともに成長を続けている。

1人ぼっちで喜ぶパフォーマンスにも慣れていた。2点目を決めた進藤は仲間の歓喜の輪から離れ、ポツンと孤独にガッツポーズを繰り広げた。昨季から続く、ゴール後のチームメートとの愛ある“お約束”だ。「いいボールが福森選手から入ってくるので『マークを外す、タイミングを合わせる、ゴールに飛ばす』を意識している。それが凝縮された、いいゴールだったと思う」と、気持ち良さそうに振り返った。

不穏な空気を吹き飛ばす1発となった。前半6分に自身の縦パスでMFロペスの先制点をアシスト。その得点源は、同43分に左膝負傷により交代した。直後のロスタイム2分。右CKからDF福森のクロスをファーサイドで待った。頭で合わせてゴールへ。リードを2点に広げた。後半38分に3試合ぶりの失点を喫したが、DFとして守備でも奮闘し、逃げ切った。

磐田戦2日前だった。進藤が目指す高みを感じさせる言葉を聞いた。「極端な話、川崎F以外はみんなやり方が間違っている」。昨季2連覇した川崎Fは結果を残した勝者。2位以下の自分たちは、結果を残せなかった敗者でしかない。そう言いたかったのだろう。昨季クラブ史上最高4位躍進を支えても、さらなる上がある-。そんな覚悟が、今季はプレーにあらわれている。

下部組織からトップチームに昇格して活躍する進藤の姿は、豊富な資金力を持たないクラブが目指す姿でもある。この日は、今節の全カードで最多タイ6人のホームグロウン選手がベンチ入りした。「日本は名前のある外国人選手に注目が集まりがちですが、いかに日本人の選手を育てていくかがJリーグ、我々の役割」。試合後のミハイロ・ペトロビッチ監督(61)の言葉には、理念を実行している者が持つ重みがあった。

クラブも、自身も同じ96年に生まれ、時代を歩んできた。平成最後の試合を「せっかくならリーグの(平成)ラストゴールだったら…残念」と冗談交じりに振り返った進藤は、神戸との令和初戦へ「いい準備をしていきたい」と気持ちを高めていた。【保坂果那】

 

※ホームグロウン選手 今季から導入された制度で「12歳年度から21歳年度までに特定Jクラブの第1、第2、第3、第4種チーム登録期間合計日数が990日(3シーズン相当)以上の選手」のことで、J1クラブは2人以上をトップチーム登録することを定めた。J1では21年シーズン3人以上、22年シーズン4人以上となる予定。