ヴィッセル神戸がまたも連敗地獄を抜け出せなかった。ホーム鹿島戦は、前半17分に先制されると0-1で逃げ切られて6連敗。

前節札幌戦を欠場したMFアンドレス・イニエスタ(35)は後半23分から途中出場したが、危機的状況を打開できなかった。吉田孝行監督(42)は試合後の会見で、ウェブでの一部週刊誌報道による三木谷会長の現場介入を否定する異例の発言。ピッチで結果を出せず、追い詰められた様子をにじませた。

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異例の反論だった。試合後の監督会見。神戸吉田監督は「1つ言っておきたいことが」と自ら切り出し「一部報道で(選手起用で三木谷)会長の関与とあるが100%ない。全部、自分が決めている。選手に動揺が走るし、変な風に書かれてもどかしいものがある」。

一部週刊誌がウェブで、三木谷会長が先発メンバーまで現場に指示するなどと報じた内容に、監督自ら踏み込んだ。公式会見で試合以外、ましてや週刊誌の記事に反論することは異例中の異例だ。

この日は過去9勝7分け24敗と苦手の鹿島に0-1のスコアで敗れたが、シュート数は1対18。内容も圧倒された指揮官は「勝ちたい、ボールを奪いたい姿勢を出していかないと。選手ではなく、自分の責任が大きい」と言葉を絞り出した。6連敗は05年に並ぶクラブワースト記録で、最下位鳥栖とは勝ち点3差の13位に沈む。

4月中旬にリージョ前監督の突然の辞任を受け、昨季途中で退任した吉田監督が緊急再登板した。J1では前体制で2連敗し、バトンを受けた吉田監督が4連敗となり、計6連敗に伸びた。同監督はルヴァン杯2戦を含めて公式戦6戦全敗。負傷者続出にも泣かされる中、選手を代え、戦術を変えても結果に結びつかない。その過程での週刊誌報道だった。

後半23分に故障明けの主将のイニエスタを投入。相手との接触で鼻血を出しながら奮闘した世界的スーパースターでも、危機的状況から救えなかった。現状打破の策を問われたイニエスタは「その答えは僕も知りたかった」とポツリ。「今はチームが1つになってやり続けるしかない」。11日に迎えた35歳の誕生日を祝えなかった。次節18日横浜戦へ、イニエスタら選手の奮起が求められる。【実藤健一】