J2アルビレックス新潟の元GKで昨季限りで現役を引退し、1日付でアルビレックス新潟営業部に配属された野沢洋輔氏(40)が第2の人生をスタートさせた。6日、新潟本社の仕事始めに新入社員として出社。営業マンとして、クラブを支える第1歩を踏み出した。

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スーツにネクタイ、胸にはクラブバッジ。“営業部員仕様”に身なりを整えた野沢氏だが、内面にはJ1、J2通算294試合の場数を踏んだGKの度胸が宿る。「“会社”のために頑張る。大口のスポンサーを獲得したいです」。新生活最初の目標を話した。「どこかに(営業に)連れて行ってください」と先輩社員に笑顔で話しかけるなど、サポーターから愛された気さくさはサラリーマンになっても変わらない。

始業時間の午前9時より40分早く出社した。

最初のデスクワークは社用パソコン、スマホの設定。「ほとんど使ったことがない」というパソコンには悪戦苦闘。同僚にアドバイスされながら必要なアイテムを立ち上げた。今後は当番制の社屋の掃除なども行う。「それは当たり前です。もともとGKは誰も片付けないゴールマウスを運んだりするので」。環境の変化も自然と受け入れる。

この日、自宅を出た瞬間、「これから始まるんだ」と自覚した。昨季は08年以来、11年ぶりに新潟のユニホームを着た。J1昇格を果たせずに引退したことは無念だった。ただ、「ビッグスワンを4万人の観客で埋める」という夢は営業の立場で実現可能だ。

年末年始は静岡の実家で過ごした。地元の実業家、父弥之輔さん(66)からは「何かあったら相談に乗るよ」と励まされた。昨年12月19日の引退会見から2週間余り。体格は180センチ、75キロの現役時代のままだが、これから体を動かす時間は減る。営業ならではの“付き合い”は増える。「(体重が増えて)スーツをパンパンにしたい」と笑った。【斎藤慎一郎】

◆野沢洋輔(のざわ・ようすけ)1979年(昭54)11月9日生まれ、静岡県出身。日大三島から98年に清水入団。00年に新潟に移籍し、01年から正GK。03年J2優勝、J1昇格決定に貢献。04年から3年連続でJリーグオールスターに出場。09年湘南に移籍し、12年からは松本でプレー。15年からシンガポールリーグ・新潟Sに所属し、16年からリーグ戦3連覇に貢献。19年新潟に復帰した。通算ではJ1で75試合出場、J2で219試合出場。