待ってろ、グルージャ! 第100回を迎えた天皇杯サッカーの岩手県予選準決勝(午後2時開始)が12日、盛岡市つなぎ多目的運動場で行われる。04年以来16年ぶりの本大会出場を狙う富士大は、日本製鉄釜石と対戦。今大会3戦4得点と好調なFW阿部亮太(3年=遠野)が自身のゴールで全国舞台に導くことを誓った。勝てば、19日の決勝(いわスタ)でJ3いわてグルージャ盛岡に挑む。

レフティー阿部が、左右両足でゴールネットを揺らす。169センチと小柄だが、細かいステップで守備陣を切り崩す。裏に抜ければ絶妙トラップ。「(日本製鉄)釜石さんとは、今まで以上に難しい試合になる。自分たちはチャレンジャー。全国大会出場に向け、点を多く取る自分の役割を果たしたい」。右からだけでなく、左45度からの豪快シュートにも自信を持っている。

強いチームに勝つすべは、最前線からの守備を貫くハードワークにある。「1人が奪いに行ったら2人目、3人目…。6人目で取れればOK」。自身がスイッチを入れ、連動させてボール奪取。そこから体力と速さを生かした速攻。毎週火曜日の「ランメニューデー」でフィジカル面は構築してきた。

先月末には天皇杯12年連続出場中のJ3岩手と練習試合で腕試しができた。前半は1-2、後半は0-2で敗れたが、手応えは得た。「強いチームには球際が大事。ファウルするくらいのアプローチが必要なことも再認識できた」。相手は主力メンバー中心ではなく、さらなる上積みも不可欠だ。

04年の初出場以降、岩手県予選決勝に5度進出も、厚い壁に阻まれ続けてきた。阿部はアルゼンチン代表でバルセロナ(スペイン)のFWリオネル・メッシ(32)の映像を見ながらマークの外し方やボールの持ち方など、自身のプレーを磨き続けている。「去年のリーグ戦は、決めなきゃいけない場面で外した悔しい思いもある。どういうボールが来ても点につなげます」と決意。富士大のメッシが、ゴール量産で新たな歴史をつくる。【鎌田直秀】

◆阿部亮太(あべ・りょうた)1999年(平11)7月31日生まれ、岩手・遠野市出身。遠野北小1年にヴァレンテとおのでサッカーを始めた。遠野中卒業後、遠野高では選手権16強。富士大でも1年秋から出場し、本職のFWだけでなくサイドバックなども経験。169センチ、62キロ。家族は両親と兄、祖母。血液型B。