新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が出されている中、J2大宮アルディージャでは徹底した「ソーシャルディスタンス」で、希望選手が個人トレーニングを続けている。

4、5人のグループに分かれ、クラブハウスに出入りする時間、グラウンド、ジムの練習時間など細かく時間割され「3密(密閉、密集、密接)」を防いでいる。今季湘南から加入したMF菊地俊介(28)に24日、現在の生活について聞いた。

   ◇   ◇   ◇

緊急事態宣言が出された地域では、クラブハウスを閉鎖し、個人練習ができないクラブもある中、大宮は、徹底したスケジュール管理の下、平日にクラブハウスを開放している。菊地は平日、午前10時から4人グループで室内で器具を使っての筋トレ、グラウンドに出てのトレーニングを続けているという。

菊地 クラブハウスに入る時間も決められていて、早く着いても駐車場で待機するんです。グラウンドでグループが入れ替わる時、スパイク置き場でも人と人が交わらないようになっていて、シャワーも、一緒になった場合は、距離をあけて浴びてます。

室内、グラウンドと2グループが同時間にクラブハウスにいる時間帯もあるが、現在は、ロッカールームのほか、ミーティングルームもロッカールームとして使用。2部屋を「更衣室」にすることで、2グループが交わらないようになっている。室内のジムは、換気に気を配り、器具を使った後、使用者がその都度、消毒する。更衣室も選手が距離を取り、クラブハウスを出る時間も定められている。

屋外では、ボールを使ってのランニングが主。菊地の場合、自主トレーニングの開始時間が、通常トレーニングと同じ時間帯で、午前6時半起床、午後9時半就寝のリズムは変えていないという。個人練習で、練習強度が通常より軽いが、食事について「今は食事ぐらいしか楽しみがないので(笑い)。そんなに減らしたりはしていません」。クラブハウスには筋肉量、体脂肪の数値が出る器具もあり毎日チェックしており「体脂肪は増えていなかった」と安どの表情を浮かべた。

全体練習がなく、実戦から遠ざかり「対人とかもやっていないとインテンシティー(強度)が上がってこない。ゲームの感覚とか戻すのに時間がかかると思う」と不安も口にする。だが、最低限の自主トレが継続できている環境に感謝し「子供(2歳の長女)と一緒にいる時間は長いですし、僕は思ったよりストレスたまっていない」と話す。妻の家事負担を減らすため、風呂掃除、食器洗い、子供の世話は菊地が担当。現在の楽しみは、子供を寝かしつけた後、ネットフリックスでスペインドラマ「ペーパー・ハウス」を見ることだ。自由な時間も有意義に過ごしている。

28歳。選手として脂が乗る1年での空白の時間に「不安がないわけではない。みんなどの選手も同じ立場なので。今はいつものリーグ戦が再開されることを願っています」。新天地をJ1に引っ張るため、心身ともに再開に向けた準備を整えている。【岩田千代巳】