磐田の元日本代表MF遠藤保仁(40)が、自身が持つ歴代最長の連続シーズン得点記録を23年に伸ばした。

ホーム群馬戦の前半29分、ゴール中央からFKを直接決めて同点。移籍後5戦目の初ゴールで記録を更新した。全3得点に絡む活躍で逆転勝ちに貢献。加入後のチームも5戦負けなし(3勝2分け)で8位に浮上。逆転昇格へ望みをつないだ。

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遠藤にはゴールへの道筋が見えていた。ゴール正面約20メートルの位置でFKを獲得。蹴る直前まで味方の壁に細かく指示を出した。「距離的にも狙いやすかった」。短い助走から右足で放ったシュートは相手10人が入った壁の頭上を超え、ゴール右隅へ。GKの手も届かないコースに吸い込まれた。98年に横浜Fに入団したプロ1年目から続く連続得点記録を代名詞のFKで更新。試合後は「コースもよかった」と自画自賛した。

後半も自らのパスが起点となり、2得点を演出。加入5戦目で挙げた初得点が逆転勝ちを呼び込んだ。遠藤は「得点に関わることが仕事」と自覚している。磐田で初出場した10日の松本戦から5試合連続で先発し、5戦負けなし。40歳だが、15日間で5試合の連戦もそつなくこなす。セットプレーや攻撃の起点は遠藤の足から。既に磐田の「顔」になっている。

ピッチ外での影響も大きい。この日は有観客試合となってからホームで初めてチケットが完売。スタジアム横のショップでも関連グッズは品切れだ。自身は住み慣れた大阪を離れ、単身生活。「コロナなので控えながら」と前置きした上で「おいしいものを食べられると思うし、いろんな人に会えるのが楽しみ」と、マイペースぶりは変わっていない。

「遠藤効果」で順位も8位に浮上。J1自動昇格圏の2位徳島との勝ち点差は「15」だが「ジュビロのために仕事をすることしか考えていない」と言い切る。残り13試合。磐田の遠藤が、逆転昇格へ先頭に立ってかじを取る。【神谷亮磨】