アビスパ福岡がJ1昇格から5年おきに昇降格を繰り返す「5年周期」に決別した。16日ヴィッセル神戸戦に0-1で敗れ痛恨の2連敗を喫したが、他クラブの結果により6試合を残しJ1残留を決めた。

過去5度のJ1は01年以降、06年16位、11年17位、16年18位と成績が振るわず、わずか1年で降格した。だが、ついに負の歴史を断ち切り、福岡出身のFW金森健志(27)は「5年周期を終わらせる目標があった。個人的にJ1残留を意識してきたので、歴史を変えることができうれしい」。ただ、勝ち点50、10位以内のクラブ目標があり、就任2年目の長谷部茂利監督(50)は「(残留は)今年スタートした時からノルマというか、必達だったので良かったが、私にとっては通過点。目標をクリアできるよう勝ち点を積みたい」と引き締めた。

「5年周期」を終わらせるべく、クラブが勝負に出た結果だった。今期のトップチーム人件費は、20年度の約10億5000万円→J1中規模となる約17億円の予算を見込んだ。その中で、カメルーン代表FWジョン・マリ、FWブルーノ・メンデスら大型補強を進め、外国人選手はJ1最多8人の陣容になった。

堅守カウンターがベースのシンプルな戦術ながら、昨季に比べ攻守の「強度」は格段に上がった。実際、外国人で38得点中21得点。現在8位躍進は、昨季J2最少失点の堅守をベースに、攻撃力の向上で攻守にかみ合ったたまものと言える。

開幕前に降格候補とされた福岡だった。だが、「勝ち点を取れるのがいい監督」というポリシーを持つ長谷部監督の指揮下、快進撃を見せた。

J1は00年の12位が最高順位だ。だが、終盤戦に入り、首位川崎フロンターレや名門鹿島アントラーズを下し、J1で初めて隣県ライバルのサガン鳥栖から勝利を奪うなどで快進撃を見せてきた。浸透してきた「長谷部イズム」で、クラブの歴史を塗り替えるJ1初の1桁順位フィニッシュの可能性を高めている。【菊川光一】