肝不全のため、76歳で亡くなった高校サッカー界の名将、小嶺忠敏（こみね・ただとし）さん（長崎総合科学大付監督）の通夜が8日、長崎県南島原市深江町丁の「南高葬儀社　寳玉殿」で行われた。国見（長崎）を全国高校選手権で6度の優勝に導いた名将。元日本代表FWで、昨季で現役引退した大久保嘉人氏（39）やJ3相模原の高木琢也監督（54）、J3北九州の小林伸二スポーツダイレクター（61）らも参列した。告別式は9日正午から同所で。喪主は妻厚子（あつこ）さん。

　　　　◇　　　　◇　　　　◇　　

高校サッカーに人生をささげた「伝説の名将」と、教え子らも最後の別れ。大久保氏は大阪でのテレビの仕事を終え、午後8時前に駆けつけた。通夜に参列後、悲しみをこらえながら、気丈に取材に応じた。

大久保氏によると、今年の元日に面会に来たが、病院に入れず、断念したことがあったという。9日の葬儀・告別式には仕事で出席できないため、通夜で恩師にお別れをした。

「約1、2年ぶりかな」と振り返った最後の対面。小嶺さんの顔を見て「今にも起き上がってくるんじゃないか？　と思った」。天国へ旅立った恩師へ「（天国から）見守ってくれると思う。自分は、ここで先生の教えが終わったわけでもない。自分の中では一生続くもの。元気でやっているところを見せたい」と言い、教えを今後の人生の糧にしていく覚悟を示した。

通夜は、厚子夫人が喪主を務め、午後7時開始だった。ただ、大勢の弔問が予想され、受付は予定を早めて同5時半とした。しかし、同4時ごろから弔問客が絶えず続き、約1500人が訪れた。祭壇に掲げられた遺影は、関係者によると、50代ごろの写真で、熱心に指導する姿が写されていた。

教え子の神戸の三浦淳寛監督や大久保氏、評論家のセルジオ越後氏、歌手さだまさし、長崎総合科学大付サッカー部といった学校関係者のものなど、各界からの花も届けられた。

長崎総合科学大付は、開催中の第100回全国高校選手権にも出場していた。肝臓を患い、持病の悪化もあって、闘病を続けながらの命がけの指揮で全国へと導いたが、昨年末に開幕した大会では初戦からベンチ入りできなかった。選手も、入院加療、投薬治療を受ける恩師の合流を大会2勝を挙げる奮起で待ったが、3回戦敗退。ともに戦うことはできず、突然の別れとなった。【菊川光一】