昨季2位の横浜F・マリノスが、FW仲川輝人(29)の2得点などで王者川崎フロンターレを破った。前半相手に先制を許したが、後半の大量4得点で逆転勝ちした。19年MVPの仲川は、開幕戦から2戦連続ゴール。過去2年は出場機会を減らし、シーズン2得点止まりと苦戦も、今季は2戦3発と、かつての輝きを取り戻しつつある。

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復活への思いが鮮やかなゴールを生んだ。3-2で迎えた後半33分、ペナルティーエリア手前左サイドでボールを受けた仲川は、思い切って右足を振り抜く。カーブのかかったボールはゴール右角に吸い込まれた。「練習でも入ったことがないくらいのシュート。10回に1回出るくらいのシュートだった」と驚きを交えて喜んだ。

19年のMVP。同年末には日本代表デビューも果たしたが、個性あるブラジル人選手らの加入もあって、ここ2年は先発を外れることが多かった。今季は開幕前から「勝負の年」と繰り返し、「ここ数年満足いく結果、数字を残していない。今年こそ19年みたいに、いい活躍ができるよう頑張りたい」と話していた。

これまで右サイドを主戦場としてきたが、今季は日本代表FW前田が抜けた左サイドに移った。1点目はカウンターでゴール前にポジションをとり、難しい体勢で右クロスに合わせた。2点目は左から中央に切り込んで、利き足の右でスーパーゴールを決めた。チームの約束事は、どのサイドでも変わらない。与えられたポジションで輝きを放ち、チャンスをモノにした。

開幕から2戦3発と、早くも直近2年の年間ゴール数を上回った。今季は得点、アシストともに2桁を目指している。「(昨季得点王のFW前田)大然は23点取っている。自分の背番号(23点)を取れるくらい活躍したい」。大きな目標を胸に、仲川が良好なスタートダッシュを切った。【杉山理紗】

◆仲川輝人(なかがわ・てるひと)1992年(平4)7月27日生まれ、神奈川県川崎市出身。専大から15年に横浜入り。16年町田、17年福岡への期限付き移籍を経て、18年復帰。19年にはMVP、得点王、ベストイレブンの個人3冠を達成し、日本代表にも選出された。160センチ、57キロ。