川崎フロンターレ鬼木達監督(47)の一言が、新14番・MF脇坂泰斗(26)の背中を押した。4日、オンライン取材に対応。クラブのレジェンド中村憲剛氏(41)が背負ってきた14番を今季から引き継いだ脇坂について「すごく背負っている感じがあった」と言う。今季初の公式戦となった2月12日の富士フイルム・スーパーカップ(対浦和)、リーグ開幕戦(対東京)でも、背番号の“重さ”を背負い込んでいる印象を受けた。だからこそ、鬼木監督はシンプルに伝えた。

「お前はお前だから」。

無理に中村憲剛にならなくていい、と。

鬼木監督は続けた。「(中村)憲剛のようなゲームメークを求めている訳ではない」。自分の良さを出すことに、気付いて欲しかった。「もちろん乗り越えていくという意味でも、見ておくことも大事。ただ、いろんなものを膨らませていっている感じがした。抱え過ぎて欲しくない。少しでもヒントになれば」と声を掛けた。

指揮官の言葉で、脇坂の肩の荷が下りた。2日の浦和との第10節(等々力)で、“らしさ”を取り戻した。1-1の後半19分に敵陣中央でパスを受けると、完璧なターンで相手を置き去りにし、ドリブルで突破。最後は3、4人に囲まれながら、右サイドでフリーのDF山根へラストパス。逆転ゴールを呼び込んだ。脇坂は試合後に「監督が『お前はお前だから』と言ってくれて、吹っ切れた。今まではチームに合わせようとか、うまく合わせようと思いながらやっていたけど、自分の良さを出せばいいんだと、はっとした」と感謝した。迷いもなくなっていた。

鬼木監督は「やるべきことをやることが、チームのプラスになる」と言う。脇坂は、脇坂らしい14番像を描いていく。