鹿島アントラーズがMF荒木遼太郎(20)の今季初得点で、柏レイソルにウノゼロで競り勝った。センターバックは前節の川崎フロンターレ戦で痛恨のミスをしたDF関川郁万(21)とルヴァン杯・セレッソ大阪戦で17歳のFW北野に得点を許したDFキム・ミンテ(28)が務めた。2人は、苦い経験を乗り越え、柏を無失点に抑え勝利に貢献した。

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自信を失いかけたセンターバックを立ち直らせたのは、同じくセンターバックとして日本代表でプレーした岩政大樹コーチのマネジメントが大きかった。岩政コーチは、右サイドバックに守備が強いDF常本ではなく、攻撃的な広瀬を起用した。パスを引き出し、前へ運べる広瀬を配置することで、センターバック2人のビルドアップ(攻撃の組み立て)の負担を減らす意図があった。関川、キム・ミンテは迷いが吹っ切れたように、守備に集中。持ち味の対人の強さを発揮し、柏の攻撃陣をシャットアウトした。

関川は試合後、「前節は自分のミスから失点して。本当に悔しくて。1週間、苦しかったですけど。大樹さん(岩政コーチ)からラストチャンスと言われていて。それに応えて無失点で勝てたのは自分の中で大きな自信になった。素直にうれしかったですね」と、ほっとした表情を浮かべた。

常勝・鹿島を知る岩政コーチは、鹿島でプレーする選手の重圧が手に取るように分かっている。常勝を支えるのは鉄壁の守備。鹿島のセンターバックは常に、勝ち続けなければならないプレッシャーを背負う。鹿島の最終ラインは常に、日本代表に名を連ねてきた。だからこそ、岩政コーチは「彼らの苦しみが分かる」と話す。2人を守備に専念できるように導き、その作戦は見事にはまった。岩政コーチは「(2人が)よく乗り越えたと思います。早い時間で失点していたので、前半を0で抑えることで呪縛がとりのぞかれる。前半0で乗り切ったことが大きかった。彼ら自身が乗り切って乗り越えて次に向かうことが出来る勝利だった」。

まずはホームで無失点勝利を挙げ、悪夢を払拭(ふっしょく)した。関川は「鹿島でタイトルを取って、鹿島を代表する選手になりたい」と意気込む。鹿島の若きDFが、また1つ、たくましくなった。【岩田千代巳】

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