2年生守護神の神セーブだ。帝京長岡が日本文理をPK戦の末に破り、連覇を決めた。

前後半70分。延長前後半20分の計90分でも決着つかず、勝負はPK戦へ。1人ずつが外し、3-3で迎えた先攻・日本文理5人目のキックをGK小林脩晃がストップし、優勝を決めた。中学3年時に出場した日本クラブユース選手権U-15で大会MVPを獲得した“神の手”を、この舞台でも見せつけた。

 

多くの場数を踏んできた小林がチームを連覇に導いた。21本のシュートを放ちながらゴールを奪えずに突入したPK戦。GKとして我慢が必要な展開にも、焦りはなかった。相手は準々決勝の新潟西戦で計44人が蹴る記録的なPK戦(20-19)を勝ち上がってきている。「動画を見て、自分なりに研究した。うまく反応できた」。読み通り、先攻の日本文理5人目のキックを左に飛んでセーブ。雄たけびをあげた後は、最後のキッカーで出身クラブの先輩、FW河角昇磨(3年)に「頼みます」と思いを託した。

河角がゴールネットを揺らし、勝利が決まった瞬間、小林は真っ青な空に向かって両腕を突き上げた。チームのGKメンバーは11人。ポジション争いが激しい分、責任は重い。「チームGKの代表としてピッチに立っている。全員でつかんだ優勝」とホッとした表情も見せた。

PK戦は“大好物”だ。中学3年時、FC東京U-15むさしの正GKとして出場した21年のクラブユース選手権U-15。準決勝、決勝と続いたPK戦で好守を連発し優勝に貢献し、大会MVPに輝いていた。「緊張はなかった。あの時の経験が生かせました」と試合中に激しくゲキを飛ばす姿とは別人のように淡々と、冷静に振り返った。

インターハイは7月に北海道で開幕する。帝京長岡の代名詞の細かいパスやドリブル駆使する攻撃的サッカーに加え、攻から守の切り替えの速さが加わったニュースタイルを全国で示す。「県総体を通して守備も向上している。失点せずに勝ち上がり、日本一を狙う」。中学で全国制覇を経験している守護神が最後のとりでとなり、ゴールを守る。【小林忠】

 

〇…帝京長岡・谷口哲朗総監督(49)は「PKは見てられなかった」と苦笑いも、「小林なら1本は止めてくれると思っていた」と激戦を振り返った。試合内容では攻守で圧倒。シュート数21本で、被シュート数は4本に抑えた。ただ無得点に終わったことに「気持ちを乗せてゴールに向かう部分。点を取るという執念が足りなかった」と修正点を挙げた。