鹿島アントラーズがC大阪に、退場者を出しながらもエースFW鈴木優磨の虎の子の1点を守り切り3位に浮上した。首位神戸との勝ち点差を6に縮めた。苦しい試合を死に物狂いでもぎとった。1-0の前半25分、鹿島MFピトゥカが相手の足首を踏み、VAR(ビデオ・アシスタントレフェリー)の判定の末に退場に。天皇杯はPKで敗れ、ルヴァン杯準々決勝・名古屋戦は試合終了間際に失点し敗退していた。だが、今回は勝たなければ優勝が遠のく大一番で、伝統の勝負強さを発揮。勝利の瞬間、体力を出し切ったイレブンはピッチに倒れ込んだ。

岩政監督は現役時代の07年11月の第33節浦和戦を頭に浮かべながら見守っていた。退場者を出しながら勝ち点3を手にし、奇跡の3連覇につなげた。指揮官は「このクラブがいくつかの試合で経験し、乗り越えてきた試合をまた乗りこえた。これを乗りこえたら彼らは本物になるなと。彼らが成長し始めていることを実感した」。

選手には日程表を見せ、「上位との直接対決がホームで残っている。ホームの強みが生かせる」と共有している。この日の劇的勝利も「優勝するまで叫ぶのはやめよう」と引き締めた。首位の背中が近づいている。【岩田千代巳】