第89回全国高校サッカー選手権大会の組み合わせ抽選会が22日、行われた。鹿島入りが内定しているMF柴崎岳主将(3年)擁する青森山田は、2大会前の王者・広島皆実と2回戦で対戦する。初戦で強豪を撃破、今度こそ栄冠を勝ちとる。昨年3回戦に進出した尚志(福島)は佐賀北、羽黒(山形)は同3位の関大一(大阪)、宮城工は日章学園(宮崎)、秋田商は九州国際大付(福岡)、遠野(岩手)は宇和島東(愛媛)と初戦を戦う。

 高校生活最後の戦いは、いばらの道から始まる。初戦の広島皆実、勝ち上がれば今夏インターハイ準V・滝川二(兵庫)との対戦の可能性もある。それでも柴崎は「相手がどこでも自分たちのやり方を変えることはない」。続けて「国立に忘れ物を取りに来ましたから」と堂々の“優勝宣言”。昨年度の選手権決勝は山梨学院大付に0-1で敗れ、悔し涙をのんだ。今年は「全国制覇」という手土産を持って、鹿島入りに花を添える-。強気な言葉は、その気持ちの表れだった。

 もちろん、自分自身を奮い立たせる意味もこもっていた。柴崎はサッカー人生において頂点に立ったことがない。青森山田中では2年時に全国中体連の大会で3位、翌年は準優勝。高校進学後も最高成績は昨年度大会の準優勝。「いつも狙っているのに手が届かない。優勝は近いようで遠いもの」。厚い壁を乗り越える最後のチャンスだ。

 最終目標をかなえるための準備も整いつつある。12月11日には、仙台と練習試合がある。黒田剛監督(40)と仙台手倉森誠監督(43)がS級ライセンス同期という付き合いから実現した。両者は07年12月7日にも対戦。その時は就任3日目の手倉森仙台を、青森山田が1-0で下した。今年は黒田監督から「誠さん、リベンジしたくないですか」と呼び掛けたことから開催にこぎ着けた。柴崎は「1度つぶされるのも1つの手です」と“Jの先輩”からの手荒い仕打ちにも耐える覚悟ができている。

 清水入り内定のGK櫛引政敏(3年)らとともに戦う最後の冬。柴崎がすべてをかける。【湯浅知彦】