けが人続出の前回王者フランスが、4-1の大勝で暗雲を吹き払った。

先発起用されたベテランの36歳、FWオリビエ・ジルー(ACミラン)が2ゴールで逆転勝利に貢献。開幕直前のけがで欠場が決まったベンゼマ(Rマドリード)の穴を埋めた。代表通算51得点となり、アンリが持つフランス歴代最多記録に並んだ。厚い選手層で史上3チーム目の連覇達成を目指す。

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ジルーが名手アンリに肩を並べた。試合後、ベテランは落ち着いた口調で喜んだ。「自分の(記録の)ことを話すのは好きではないが、アンリと肩を並べることができたのは光栄なこと。彼を超えたい」。

今大会では当初、ベンチスタートが予想されていた。しかし開幕直前、10月に世界最優秀選手賞「バロンドール」を初受賞したFWベンゼマの欠場が決定。その代役を果たすかのように暴れまくった。

ワントップとして先発すると、ピッチを駆け回った。1-1の前半32分、ラビオが左から折り返したボールを無人のゴールに蹴り入れ、逆転。後半26分にはエンバペのクロスを得意のヘディングで決めてとどめを刺した。2ゴールで代表通算51得点とフランス歴代最多記録に並んだ。優勝した前回大会で無得点だった193センチの長身FWは「18年大会は自分に好機が少なかった。ここで取れたのは自信になる」と、充実感を漂わせた。

試合終了直前に交代。デシャン監督から奮闘をたたえられ、抱擁を交わした。指揮官は「彼が常にフィールドでプレーすることが大切。我々にとって重要な選手だ」と評価した。

チームは故障者が相次ぐ緊急事態。ベンゼマの欠場で、大会には1人少ない25人で臨むことが決まった。中盤を構成するカンテ、ポグバもメンバーから漏れ、DFキンペンベも離脱した。この試合で先制点を許した際には、DFのL・エルナンデスがピッチに倒れて負傷退場。右膝前十字靱帯(じんたい)損傷と診断され、離脱することが発表された。選手層は厚いが、苦しい状況は続く。

「W杯でサプライズが起こりうるのはアルゼンチンの結果を知る前から分かっていたこと。自分たちはどんな相手にも最大限の敬意を示して戦う」と主将のGKロリス。60年ぶり、史上3チーム目の連覇達成へ。。ベテランがチームに勢いをもたらす。

<ジルー アラカルト>

◆ハンサム アーセナル時代の14年にドイツのファッションブランド「ヒューゴ・ボス」の香水のキャラクターに起用された。また15年には英ブックメーカー・パディパワーが調査した「プレミアリーグでもっとも格好良い選手」に選ばれた。

◆高コスパ選手 アーセナル、チェルシーで通算255試合に出場し、90ゴールを挙げた後、21年夏に格安の移籍金285万ユーロ(約4億1300万円)でACミランに加入。昨季は11ゴールで優勝に貢献し、今季も5点をマークしている。

◆敬虔(けいけん)なキリスト教徒だが… 試合前には祈りをささげるクリスチャン。信仰心が厚く真面目そうだが、14年にはモデルとの浮気が報じられたことも。

〇…フランスのエース、エムバペが初戦から存在感を発揮した。2-1の後半23分、右サイドから上がったクロスに、相手2人の間を割って頭で合わせ、今大会初得点をマーク。23歳337日でのW杯通算5ゴール到達は、フランス代表として史上最年少記録となった。さらにその3分後には左からクロスを上げ、FWジルーのゴールもアシストした。