H組1位のポルトガルが、エースFWロナウド(37)の代わりに先発に抜てきされた21歳のFWラモス(ベンフィカ)のハットトリックなどで、G組2位のスイスに6発で圧勝し、06年のドイツ大会以来、4大会ぶりに8強進出を決めた。

同試合の最優秀選手に選ばれた後、ラモスは「決勝トーナメントの先発メンバーになるなんて、夢にも思っていなかったよ」と語った。

ラモスってだれ? AP通信では「モロッコは、準決勝進出を懸けてポルトガルと対戦するが、6日まではラモスのことを何も知らなかったかもしれない。しかし、それは間違いなく変わった」と評している。

ラモスは、ワールドカップ(W杯)カタール大会のメンバーに選ばれるまでは、ポルトガル代表でプレーしたことがなかった。26人のメンバーで背番号は「26」。まさに26番目の男。W杯カタール大会でも、1次リーグのガーナ戦とウルグアイ戦では後半に数分プレーしただけだった。前2試合は見せ場はなかった。

同僚のMFフェルナンデスも「世界のほとんどの人は、今日まで彼のことを知らなかった」と語ったほどだ。

エースFWロナウドの居場所が危うくなったのは試合前日の5日だった。ポルトガルのフェルナンドサントス監督は、韓国戦で交代させられたロナウドの立ち居振る舞いに不満を爆発させていた。スイス戦の先発メンバーにロナウドはなかった。代役はラモスだった。

前半17分、ラモスは先制点を決め、フェルナンデス、FWフェリックスらと流れるようなパスサッカーで後半にも2得点。ハットトリックを達成。指揮官は「ロナウドは、決められたエリアでプレーするが、ラモスはもっとダイナミックだ」と語った。

ラモスがハットトリックを達成後、ラモスと交代でロナウドがピッチに立った。試合終了の後、2人はセンターサークルで抱き合った。ラモスは、ハットトリックを決めた選手への恒例のプレゼントである試合球を手にしていた。ポルトガルの前線に世代交代の波が来ているのは間違いなさそうだ。

 

▼ハットトリック ポルトガルのFWゴンサロ・ラモスが5日の決勝トーナメント1回戦スイス戦で3得点。今大会初。前回18年ロシア大会1次リーグでイングランドのケーンがパナマ戦で記録して以来、通算53度目。決勝トーナメントでは90年イタリア大会の同1回戦でチェコスロバキアのスクラビーがコスタリカから3得点して以来32年ぶり。

▼年長得点 ポルトガルの39歳DFペペが5日の決勝トーナメント1回戦スイス戦で得点。39歳283日でのゴールはカメルーンのロジェ・ミラが94年米国大会1次リーグのロシア戦でマークした42歳39日に次ぐW杯史上2位の年長得点記録。決勝トーナメントに限れば、58年スウェーデン大会でスウェーデンのグレンが準決勝の西ドイツ戦で残した37歳236日を更新する最年長得点となった。