エバートンの元イングランド代表MFデレ・アリ(27)が米国のリハビリ施設で薬物依存、メンタルヘルス、トラウマ治療のために6週間を過ごしたことを明かした。同じような境遇にある他の人々を勇気づけるためだという。複数の海外メディアが報じた。

アリは13日に公開された元イングランド代表DFガリー・ネビル氏のユーチューブ番組に登場。幼少期のトラウマに対処する方法として睡眠薬中毒に陥っていたことを明かした。アリは6歳の時に一家の友人だった人物から性的虐待を受けたのだという。

アリは昨季、エバートンからトルコ1部ベシクタシュへ期限付き移籍。公式戦15試合に出場した後、今夏エバートンに復帰した。しかし、けがの手術が必要だと告げられると、再び精神的な負のサイクルが始まるのを感じ、助けを求めることにしたという。

アリは「正直なところ、僕は悪いサイクルに陥っていた。自分を傷つけるもの(薬物)に頼っていたんだ」

「毎日目覚め、自分との戦いに勝ち、練習に行き、笑顔を見せて自分がハッピーであるとアピールしていた。でも本当の自分は負けていたんだ。手術が必要だと言われたとき、その悪いサイクルが始まるときの感じがした。でも、これ以上そのような状態にはなりたくなかったんだ」などと説明した。

アリは3週間前に米国のその施設を出たといい、今度は自分の話をシェアすることで他の人を助けたいのだという。

「他の人たちに知ってほしい。みんな1人ではないということ。そして他人に自分の話をしていいということを。助けを求めたり、弱音を吐いたりすることは自分を弱くすることではない。むしろそうすることには力が必要なんだ。だから僕はカミングアウトして自分の話をみんなと分かち合うことができてハッピーだ」。

アリは英ミルトン・キーンズで育った幼少期のトラウマについて告白した。母親の友人から6歳で性的虐待を受け、7歳でタバコを吸い、8歳でドラッグを売り、そしてようやく11歳のときに「アメージングで」「自分を支えてくれる」家族の養子になったと語った。

その後のアリは、自分の感覚をまひさせるためにさまざまなことをした。それが自分を傷つけることにもつながった。「アリは飲酒であれ何であれ、そういう目的でやっていたとは気づかなかったんだ。もし乱用したり、使い方を間違えたりして、何かから隠れたりするためにやっているとしたら、それは明らかに自分に大きなダメージを与えることになる」。

アリは養父母や、彼を助けようとするチームメートに薬物依存症であることを隠し、24歳でプロサッカー選手からの引退を考えたという。

「物事がしっくりいかないと感じ始めた正確な瞬間をひとつ挙げるのは難しい。自分が一番悲しかったのはモウリーニョが(トットナムの)監督の時で、24歳の時だったと思う。モウリーニョが僕をプレーさせなくなったときだった」

「鏡を見て…、何かドラマチックに聞こえるかもしれないけど、文字通り鏡を見つめていただけなんだ。そして自分に問うた。今、ここで24歳で引退できるのかって。自分が愛する競技から。24歳で引退したいと考えるなんて心が張り裂けそうだった。あれは本当に傷ついた」

アリは15年にユース時代から所属し、プロデビューを果たしたMKドンズからトットナムに加入。18-19年シーズンの欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝に進出したマウリシオ・ポチェッティーノ監督のチームの重要な一員となった。イングランド代表としても活躍し、18年W杯ロシア大会では準決勝に進出した。

しかしアリの成績はその後、急降下。トットナムで人気を失い、22年1月にエバートンに移籍したが、同クラブでのプレミアリーグ出場はわずか13試合にとどまっている。

アリは今季ショーン・ダイチ監督率いるエバートンでポジションを争う準備ができていると語り、精神的にも「これまでで最高の場所にいる」という。

アリは「今の自分を誇りに思うし、誰のせいにもしない。僕は自分に困難な時間を与えた人々にも感謝している。そのおかげで強くなれたから」と話し、「自分との闘いに勝って、自分が正しかったことを証明することが大事なんだ」と強調していた。