[ 2014年2月20日9時13分

 紙面から ]メダルセレモニーでジャンプしながら表彰台に上がる葛西(右端)(撮影・井上学)

 「レジェンド」を流行語大賞に-。ノルディックスキー・ジャンプ男子の団体で銅メダルを獲得した日本チームの葛西紀明(41=土屋ホーム)伊東大貴(28=雪印メグミルク)竹内択(26=北野建設)清水礼留飛(20=雪印メグミルク)の4人は19日、ソチ空港から日本に向け出発した。41歳にして初の個人メダルと2度目の団体メダルを獲得。国内でも「レジェンド」旋風が巻き起こるが、今後も大ジャンプを続けることで自らの代名詞をさらに広める。

 ソチだけで終わるつもりはない。葛西は、団体銅メダルメンバーとともに、ソチから一時帰国のため、日本へ出発した。41歳のダブルメダルに、国内が沸騰していることを聞くと「もっとたくさんの人に“レジェンド”といわれるように頑張りたい」と笑顔で前を見つめた。

 見えてくるのが流行語大賞。五輪関係の同賞は数多い。96年アトランタ大会女子マラソンの有森裕子の「自分で自分をほめたい」、04年アテネ大会水泳の北島康介の「チョー気持ちいい」、06年トリノ大会フィギュアスケートの荒川静香の「イナバウアー」などがある。流行語となれば、ジャンプ競技の人気、普及面に好影響を与える。同賞受賞の意義はある。

 問題は時期だ。流行語大賞の発表は例年12月で、年明けより年末にかけてはやった方が印象度が強いといえる。2月の冬季五輪は年明けだけに、インパクトが弱まる可能性がある。だが、葛西はソチ五輪だけで、勢いある飛躍を止めるつもりはない。

 今日20日に帰国し、24日には再びW杯転戦に向けて出発する。3月13日からはフライング世界選手権(チェコ)がある。フライングはラージヒルよりさらに大きなジャンプ台で得意種目。「神風ジャンプを見せて金メダルを狙います。(通常の)世界選手権と同じメダルがもらえますから」と、ソチで逃した頂点を見据える。今季は3月末に終えるが、11月になれば来季が開幕する。シーズン前半から大ジャンプを続ければ、年末にかけて、再び「レジェンド」旋風が巻き起こり、流行語大賞へ追い風が吹く。

 この日は「すぐ出せるように」とスーツのポケットに個人銀、団体銅メダルを入れた。「楽しめた。満足のいく五輪でした」。ソチで2つのメダルを獲得した41歳の「レジェンド」伝説は、まだまだ続く。【田口潤】

 ◆新語・流行語大賞

 広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語を選び、その「ことば」に深くかかわった人物、団体を毎年顕彰するもの。84年に創始され、毎年12月上旬に発表。「現代用語の基礎知識」読者審査員のアンケートを参考に、選考委員会によってノミネート語が選出され、年間大賞語などが決まる。選考委員会は作家・姜尚中さん、漫画家・やくみつるさんらで構成される。