陸上の短距離女王、福島千里(28=札幌陸協)は「シンプル」に日本人女子初の10秒台を目指す。今日29日、織田記念国際がエディオンスタジアム広島で行われる。1月下旬に10年在籍した北海道ハイテクACを退部。プロに転向後、初の国内大会になるが、10年には日本記録(11秒21)を出した相性の良い大会で「ドキドキしている。練習では考えるけど、試合ではあんまりたくさん考えずシンプルにいきます。10年の時に話した10秒台をいつか達成できるように頑張りたい」と誓いを立てた。

 今年は3年ぶりに海外で初戦を迎えた。3月下旬から約2週間で200メートル1本を含め、4本のレースを走った。記録は11秒44が最高だったが、プロになったことで活動の幅が広がり実現した。昨年まで3年連続で初戦は足のけいれんなどで棄権し、思うようなスタートが切れておらず、米国で走りの感触を確かめられたことは大きい。「痛いところもないし、状態はまずまず。米国に行ったことが良かったかはこれからの結果で分かると思うが、環境が変わりモチベーションも上がっている」と話す。

 8月には、12年ロンドン五輪が開催された同じ場所で、世界選手権が開催される。出場した100、200メートルともに予選落ちしているだけに「ロンドンでは成績を残せなかった。また挑戦したいなと思う」と雪辱を胸に抱く。女王がスタートダッシュを決め世界に向かう。【松末守司】