まず青学大と原監督に4連覇おめでとう、と言いたい。1区間もミスのない素晴らしいレースだった。チームを最高の状態に仕上げた原監督と選手たちは「さすが」というしかない。10人全員が力を出し切った。これが最も難しい。1人の失敗は、9人が頑張っても取り返せない。3連覇を経験している青学大は「調整能力」で他を圧倒した。

 優勝候補の神奈川大と東海大は自滅だった。神奈川大は重圧からか自分たちの走りができず、5区で失速した。東海大はエース関の負傷欠場がチームに動揺をもたらした。ともに普段の走りなら優勝を狙えたが、できないのが箱根。ドラマ「陸王」人気もあって、例年以上の注目度だった。周囲のプレッシャーも相当だったはず。出雲や全日本で勝ったことが、平常心を奪ったのかもしれない。

 「世界を狙う選手にとって箱根は通過点」と言ってきたが、これが浸透してきた。神奈川大2区鈴木の出来は物足りないようにも見えるが、マラソン練習をしてきた結果だろう。毎日40キロ走っている表情だし、走りだった。実力者が多かった昨年の4年生が抜け、今年はレベルが低かった。しかし、鈴木のように楽しみな選手はいる。この箱根の盛り上がりは、長距離界のレベルアップにつながるはずだ。(日刊スポーツ評論家)